2002年11月19日(火)「しんぶん赤旗」

汚職にメス 公共事業の改革 県民参加

民主県政すすめる日本共産党を大きく

徳島演説会 志位委員長が1600人に熱っぽく訴え


日本共産党演説会で志位和夫委員長の演説を聞く人たち=18日、徳島市文化センター

 日本共産党徳島県委員会は十八日、徳島市で志位和夫委員長を迎えて、いっせい地方選挙での勝利をめざす演説会を開きました。会場の徳島市文化センターには、前知事の事件に関する「汚職問題調査団」の設置を求める運動をすすめる人たちをはじめ、各地から次つぎと集まり、立ち見も出て第二会場も満員になるなど、千六百人が参加しました。

 演説会に向けて、十二万枚のビラ、ポスターを活用、団体への案内とともに、地元新聞に広告を掲載するなどして参加を呼びかけました。

  

訴える志位和夫委員長=18日

 大きな拍手のなか登壇した志位委員長は冒頭、十七日の尼崎市長選で日本共産党支持の候補が現職を破ったことにふれながら、「徳島県では大田民主県政誕生という大きな希望ある変化がおこりました。その徳島で、県議会でも、市町村議会でも、日本共産党の躍進にお力添えを」と訴え。イラクや日朝などの外交問題、公明党の党略的なデマへの反撃、日本経済のたて直し、いっせい地方選挙の争点を縦横に語り、「日本共産党の値打ちが、世界でも、日本でも、地方政治でも光っています」と話しました。

 志位氏は、大田民主県政の半年間で「着実な新しい変化」が生まれていることを三つの角度で注目し、その県政を与党として支え、住民運動とともに前向きにすすめる日本共産党の役割を明らかにしました。

汚職・腐敗政治に本格的なメス

 変化の第一として志位氏が指摘したのは、「汚職・腐敗政治に、本格的なメスが入りはじめたこと」です。

 逮捕された円藤前知事の汚職は、県発注の公共事業で「天の声」を業界に伝え、見返りにわいろをもらうものでした。わいろは県議十一人、首長八人にも「選挙資金」として渡っていました。

 この汚職事件の解明にむけて大田知事は、外部の弁護士と公認会計士で構成し、調査を委託する「徳島県汚職問題調査団」の設置を議会に提案。県段階では全国初のとりくみでしたが、自民、公明など旧オール与党勢力は「県内部の問題は内部調査で十分」などと激しく抵抗し、補正予算案から調査委託費をすっぽり削ってしまいました。

 これにたいし県民の大きな批判と運動がおき、保守系の有志組織も「調査団」設置を求める署名運動に。「議会が予算をつけないなら自分が出す」と県民のなかからカンパの申し出も相次いでいます。

公共事業の民主的改革が始まった

 第二は、「公共事業の民主的改革が始まったこと」です。

 円藤・自民党県政時代にはびこった“ゼネコン病”は八千億円を超える借金をつくりました。吉野川可動堰(ぜき)の「完全中止」を宣言した大田知事がはじめた改革は、県発注の公共工事をめぐる「入札制度の改善」と「県内中小企業の優先」でした。

 志位氏は、この二つの改革で、これまで十億円を超える県発注公共事業を県外大手ゼネコンが受注していたものが、県内業者同士の共同事業体に発注されるようになったこと、県内外の企業が共同事業体を組む場合には、県内企業の出資比率の最低基準が5%引き上げられ、県内企業の利益が増えることになったと指摘。さらに大田知事が、「緑の公共事業」の具体化で、環境保護、林業振興、雇用創出を一体ですすめようとしていることを示し、「ここには巨大開発から地元が潤う生活・環境型への希望ある変化があります」と力説しました。

県民参加で、県民とともにすすむ県政へ

 第三は、「県民参加で、県民とともにすすむ県政への変化」です。

 大田知事は、県民と直接対話する「ほなけんど塾」や「仕事興しフォーラム」を開き、県の各種委員会や審議会の委員も公募しました。

 一方、円藤県政が残した徳島空港拡張計画という「負の遺産」については、凍結、精査したうえで、工事再開となりました。志位氏は、「この経過は残念」としつつ、「大田知事がタウン・ミーティングを開くなど県民の意見集約を最後まで貫いたことは重要だと思います」とのべました。

 日本共産党がムダで環境破壊だと反対している沖州海岸の埋め立て工事については、検討委員会を設置して徹底した情報公開と県民参加で県としての方針を決めようとしていることにもふれ、「知事は本日の懇談のなかで、『民意を五感で感じとり生かしたい』とのべました。民意をよみとる姿勢を貫けば、難しい問題も解決の道が開かれると思います」との志位氏の訴えに、大きな拍手がおきました。

日本共産党地方議員団のかけがえのない役割

 「『自治体らしい自治体』としての歩みはじめた大田民主県政を前進させる勢力をのばすか、妨害するだけの勢力を許すのか」。いっせい地方選挙の焦点について志位氏はこう強調しました。

 自民、公明など旧オール与党は大田知事の努力を妨害し、問責決議案を強行しました。田中康夫長野県知事の不信任を強行したダム推進の県議会多数派(旧「県政会」)を激励・応援して県民のひんしゅくをかっています。志位氏が「類は友をよぶ。こんな勢力に徳島の未来はまかせられません」とのべると、大きな拍手がおきました。

 志位氏は、こうしたなかで日本共産党地方議員団は、(1)浪費と環境破壊の巨大開発を住民とともにストップさせてきた、(2)福祉と暮らしを守るという自治体本来の役割を果たさせる、(3)与党であっても、県政の弱点は改めるよう堂々と主張してきた――という「三つのかけがえのない役割」を強調しました。

 巨大開発をめぐっては、住民運動と共同して細川内ダムの中止や吉野川可動堰を白紙に戻させ、志位氏あてに可動堰反対の市民運動の方が「最大のテーマは住民同士がどうしたら共感しあえるか、です。しかし、それを教えてくれたのは貴党なのです」というメールを寄せたことを紹介。福祉と暮らしを守る点でも、三十人学級の実現に向け、わずか一カ月で二万人を超える署名が集まり、それをもとに日本共産党などが議会で要望したことに知事は「来年度からなんらかの形で少人数学級を導入したい」と答えました。

 「県政の弱点」であった「解同」による同和行政の乱脈、私物化にたいして日本共産党は勇気あるきびしい批判をおこない、徳島市ではとうとう市独自の同和対策事業を終結し、打ちきりました。

 「世界でも、日本でも、徳島でも、国民の立場にたつ建設者の党――日本共産党を大きくのばして、二十一世紀に希望のある未来を開こうではありませんか」との志位氏の訴えに、大きな拍手がおきました。

 演説会では、古田美知代、山田豊両県議、扶川あつし板野郡生活相談室長が決意表明。春名直章衆院議員があいさつしました。