2002年11月14日(木)「しんぶん赤旗」

国連の枠組みの中で平和的解決を

イラク問題 米は一方的攻撃計画中止せよ

志位委員長が記者会見


 日本共産党の志位和夫委員長は十三日、国会内の記者会見で、イラク問題に関して国連安全保障理事会が八日に決議を採択したことについて、次のようにのべました。

イラクは決議受諾を

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記者会見する志位和夫委員長=13日、国会内

 一、国連安保理は十一月八日に、イラク問題に関する決議一四四一を採

択した。決議で争われた最大の問題は、イラクが義務を履行しなかった場合に、自動的な武力行使を米国に許すのか、自動的な武力行使を排除するのかにあった。

 決議は全体として、戦争回避をねがう国際世論を反映して、自動的な武力行使を排除するものになった。決議には、イラクによる義務の不履行などがあった場合には、安保理に報告され、安保理が協議して、次なる措置が決定されることが明記された。

 一、これが国連安保理のコンセンサスとなったことは、安保理諸国の言明をみれば明りょうだ。まず、米国のネグロポンテ国連大使は、「決議は、武力行使についてのいかなる『隠された引き金』や『自動性』を含んでいない」と言明した。

 とりわけ重要なのは、常任理事国を構成する三つの国――フランス、ロシア、中国が、共同声明を発表し、「決議一四四一は、武力行使におけるすべての自動性を排除した」とのべたことである。三つの常任理事国が異例の共同声明という形でこうした言明をおこなったことは、きわめて重い意味をもっている。

 安保理を構成する唯一のアラブ国であるシリアも賛成票を投じたが、その理由も、「シリアは、米国と英国、およびフランスとロシアから、決議がイラク攻撃の口実に用いられないし、『自動性』の基礎とならないという保障をあらためて与えられた後に、賛成票を投じた」というものだった。

 「武力行使の自動性の排除」が国際社会のコンセンサスになったことの意義は大きい。

 一、安保理決議一四四一は、国連の枠組みのなかで、問題を平和的に解決する可能性を開くものとなった。この可能性を現実のものとする国際社会の努力が、こんごきわめて重要になっている。

 そのためには、まず、イラクがこの決議を受諾して、大量破壊兵器の査察の無条件受け入れという義務を果たすことが、強くもとめられる。

 また、国連の枠組みを無視した、一方的なイラク攻撃の計画は放棄されるべきである。米国政府首脳は、いぜんとして国連の決定なしでも、軍事攻撃を辞さないとのべているが、かりにそうした行動に出るならば、それは国連憲章を無視した先制攻撃となるだけでなく、自らも賛成した国連安保理決議の手続きをも無視することになる。イラク攻撃計画を中止することを、あらためて強くもとめるものである。