2002年10月12日(土)「しんぶん赤旗」

当面する内外情勢の焦点と日本共産党の立場

CS放送朝日ニュースター

志位委員長語る


日本共産党の志位和夫委員長は十日放映のCSテレビ「朝日ニュースター」の「各党はいま」に出演し、北朝鮮、イラク問題やアメリカの新戦略、経済問題などについて、本田優朝日新聞編集委員のインタビューにこたえました。


日朝問題について

CS放送「朝日ニュースター」に出演する志位委員長。聞き手は本田朝日新聞編集委員(右)

 本田 まず、最新のニュース、日朝間で大きな問題となっている拉致問題で、生存しているとされる五人が今月十五日に日本に一時帰国することが決まったようですが、これについてどのように受けとめていますか。

 志位 生存していることが確認された五人の方が、日本に一時帰国することになったことは、前進だと思います。

 拉致問題の真相の全容究明は、これからまだしっかりやっていかなければなりませんし、責任者の処罰の問題、あるいは被害者への謝罪や補償の問題、こういう問題はまだ解決されているとはいえませんから、今後の国交正常化交渉のなかで、あるいはそれと並行して、解決を求めていきたいと思います。

北朝鮮の国際的な無法行為と日本共産党

 本田 この拉致問題について、いろいろな議論があります。共産党は、北朝鮮について、かなり一貫してものをきちんとみていたと思いますが、拉致問題が発生した七〇年代の後半から八〇年代にかけて北朝鮮はどういう状況にあったとみていますか。

 志位 わが党が、北朝鮮との関係で、一番最初に「これは危ない変化だな」と感じたのは、六七〜八年のころからです。このときに、いわゆる「南進」論というのが出てきました。青瓦台襲撃事件というのが起こりまして、北朝鮮がこれをやったということがいわれました。わが党はそのとき北朝鮮に訪問団を出しまして(宮本顕治団長)、「南進ということをやったら、絶対だめだ」ということを言いにいったことがあります。このへんから、変化が出てきたのです。

 それで、七〇年代、八〇年代とくるんですが、八〇年代に入りまして、大きな出来事というのは、八三年のラングーン事件ですね。これは、当時の全斗煥韓国大統領を暗殺しようとして、北朝鮮の工作員が爆弾を仕掛けた事件でした。

 このとき、私たちは「テロは許されない」というきびしい抗議の声明を出しました。

 また日本漁船銃撃事件などもあって、国際的な無法がはっきりするようになりました。

 そういうなかで、私たちは北朝鮮の朝鮮労働党との関係で、「国際的無法はわれわれは受け入れられない」という批判をしたわけです。すると、先方のほうから、「そういう批判をすること自体が、敵の側に立った批判だ」という論難が返ってきまして、そこで関係が断絶するという事態になりました。

 そのあとの大きな事件としては、一九八七年の大韓航空機爆破事件がありました。これは金賢姫が自供するというなかで、われわれは「これは北の犯行だ」ときびしい批判をしました。

 ですから、北朝鮮がやってきた一連の国際的な無法行為、テロ行為についてはずっときびしい批判をしてきたのです。

 その後、九〇年代に入って、とくに九八年の八月にテポドンの問題がありまして、これもやはり日本の主権を脅かすような行為でした。

99年の不破提言の重要な意義について

 本田 あのときは(北朝鮮は)「ロケット実験」だと。それは、日本の上空はるか遠いところを飛び越えて、太平洋に一部が落ちたということだったですね。

 志位 これは主権を脅かす行為だということで、私たちは批判の談話を出したのです。

 しかし、同時に、日本の側には、これを利用して、「それじゃガイドライン(の具体化=周辺事態法)だ」というきな臭い動きが起こってきました。いわばテポドンに乗じて、日本は日本で海外派兵の戦略をどんどん進めるということになってきた。北朝鮮は北朝鮮で「日本がアメリカとくんでいつ攻めてくるか分からない」とやっている。

 こういう軍事対軍事の非常に危ない状況が生まれたなかで、九九年の一月、不破委員長(当時)が、国会で、「そういう危険な軍事対軍事の悪循環を、前向きに打開するうえでも、交渉のルートを開く必要がある」という提案をしました。

 ただ、そのとき不破さんは、同じ代表質問のなかで、「北朝鮮という国が、国際ルールを守らない国であるということは、われわれもよく知っている」ということを、その場でもいっているわけです。

 そういういろいろな国際的な無法行為をしてきた国だからこそ、話し合いのルートをもって、解決をはかる必要があるというのが、われわれの立場でした。

 こんどの(日朝)首脳会談で、そういう方向に向かっての一歩が踏み出されたわけなので、この点については、私たちは「重要な前進の一歩だ」と評価したのです。

拉致問題での転換が、無法行為全体の清算につながるか

 本田 今回の日朝首脳会談の金正日総書記の言葉で一つ注目しているのは、拉致事件で謝罪しましたが、七〇年代から八〇年代にかけての「一部の特務機関の英雄主義」とか、「妄動主義」という言葉がありました。「それを反省しているんだ」ということなのですが、さっき志位さんが列挙された「南進」であるとか、ラングーン(事件)、大韓航空機爆破事件、こういうものは、まさに「英雄主義」「妄動主義」のような内容ですね。あの総書記の言葉というのは、これまでの北朝鮮の路線というのを、かなり全面的に修正するものであるとみていますか。

 志位 全面的に修正するとまでは、いいきれないと思います。

 ただ、北朝鮮がこれまでやってきたいろいろな国際的な無法行為のなかで、日本人拉致問題という一部分なのですけれども、ここでは態度の転換が起こったということはいえると思います。ともかく、転換が起こった。これまで認めなかったことを、認めて謝罪したという点では、これは大きな転換です。この問題は、解決までまだ問題が残っており、解決のための努力が必要ですけれども、ともかく転換が起こった。

 ただ、この転換がこれまで北朝鮮がやってきた国際的な無法行為の全体の清算におよびうるかどうかは、今後をみてみないと分かりません。ただ、およびうる可能性をはらんでいることもいえると思います。しかし、全体が変わったとはまだいえない。やはり、北朝鮮という国が国際社会から名実ともに仲間だというふうにいわれるためには、その全体の転換がほんとうにはかられるということがどうしても大きなカギになってきます。

米朝関係――紛争問題を平和的話し合いで解決するレールを

 本田 これは日朝の問題だけではなくて、南北(朝鮮の問題)でもありますし、米朝(の問題)でもあります。先日、久しぶりにアメリカの国務次官補のケリーさんが平壌に行きました。この米朝の関係を日本としてはどういうふうに考えていくべきだとお思いですか。

 志位 こんどの会談についてはさだかな内容が伝わってきませんから、なんともいえないのですけれども、米朝間も対話のルートをきちんともって、米朝のさまざまな問題について対話によって解決するというレールがしかれることは非常に大事だと思っています。

 米朝の間では一九九四年に北朝鮮の核施設をめぐってたいへんな危機が起こります。戦争の一歩手前までいきまして、そのときに当時の韓国の(金泳三)大統領がクリントンさん(米大統領=当時)に電話をして、「絶対に戦争はやめてほしい」と直談判して、「戦争になったら地上戦になっておびただしい犠牲がでるので、絶対やめるべきだ」ということをいって、一転、戦争が回避されて、カーター(元米大統領)訪朝で交渉ルートが開かれました。そのあと、オルブライトさん(国務長官=当時)が訪朝するところまでいって、さらに首脳会談かというところまでいったけれども、そのあとまた逆に戻る動きもあり、ジグザグもありますけれども、私は米朝間のいろんな紛争の問題もすべて話し合いで解決するというレールがつくられることを強く希望しています。

 南北間は、南北首脳会談が二〇〇〇年に行われまして、対話で問題を解決するというルートができている。日朝もこんど一歩が踏み出された。米朝もそういう関係をぜひつくっていく努力が必要だと思っています。

イラク攻撃と米の新戦略

 本田 対北朝鮮政策という意味でも、大きな影響力をもつんですが、先月の二十日にブッシュ米大統領が新戦略、「国家安全保障戦略」、ブッシュ・ドクトリンと呼ばれていますが、それを発表しました。これはたいへんな内容を含んでいるのですが、共産党はずっと一貫してアメリカの戦略とか政策というものをきちんとフォローしていると私は思っているんですが、この新戦略をどう分析していますか。

ブッシュ・ドクトリン――先制攻撃を公然とうたったことが重大

 志位 ブッシュ・ドクトリンと呼ばれるものは、ことしの八月の「国防報告」、九月の「国家安全保障戦略」などの方針で体系化されてきたのですけれども、一番いままでと違うのは、先制攻撃という戦略を公然とうたったということです。

 これまでもアメリカは先制攻撃をずいぶんやってきました。グレナダ侵略とかパナマ侵略とか、さまざまやってきました。しかし、それぞれについて国際法のここにもとづくのだと一応説明してきたわけです。ところが、こんどは、先制攻撃ということを公然の方針にしている。「やられる前にやっつけろ」ということを世界政策の方針の基本にすえてしまったということはたいへんなことで、これは国連憲章を根幹から破るわけです。

 国連憲章では、個々の加盟国の武力行使というのは、侵略が行われた場合の自衛の反撃、しかも、国連が必要な措置をとるまでの緊急の措置という範囲でしか認められていません。それをこんどは、アメリカの気に入らない国は先にたたいて、やっつけてやるぞという方針をたてたわけですから、これは世界にたいへんな無法をもちこむものです。

 これがもし、まかり通ってしまえば、世界中の国が先制攻撃が当たり前に行われるということを想定して、世界の政治に対さなければならなくなるわけで、まさに弱肉強食の時代に逆戻りするとほうもない間違った方向だと思います。

先制攻撃は、国連憲章51条をふみにじる無法そのもの

 本田 ブッシュ・ドクトリンの言葉づかいでは、先制行動も自衛権のなかに入るんだという言い方ですが、それはとんでもないと(いうことですか)。

 志位 「先制行動」という言葉を使っていますが、米国の政府当局者に「先制行動」のなかに「先制攻撃」は入るのか、「アクション(行動)」のなかに「アタック(攻撃)」は入るのかと聞きますと、「先制行動」のなかに「先制攻撃」は含まれますとはっきり答えています。「先制行動」というのは「先制攻撃」を含んでもっとより広範な概念なんですけれども、その中核部分は「先制攻撃」、「アタック」、軍事攻撃であると、(米)政府自身も認めているわけですから、まさにこれは国際法をぼろぼろにしてしまうものです。

 本田 それが自衛権のなかに入るんだといっているんですが。

 志位 自衛権というのは、侵略という行為が発生した、武力攻撃が発生した、その発生後に自衛権というのが生まれるというのが国連憲章五一条の概念なんです。発生の前にやろうというのが先制攻撃ですから、(それが)自衛権という概念だというのは根本的に成り立ちません。

 本田 かつての日本を振り返れば、「自衛」という名のもとに大陸の方に出て行ったわけですから、そういう意味でも、この問題は重要な問題であるということがいえると思います。これは新戦略だけの問題ではなくて、当面、イラクが直接関係しているわけですが、いま国連決議などいろんな動きが出ています。このイラクの問題は日本としてどのように対応すべきだとお考えですか。

イラク攻撃――「テロへの対抗」という言い分はなりたたない

 志位 イラクへの攻撃に日本政府としてきっぱり反対すべきですし、日本はいっさいの協力はしないという立場もはっきりさせるべきだと思います。イラクにたいする攻撃というのは、ほんとうに大義名分がひとつもないというのが特徴だと思うのです。

 第一に、「テロへの対抗」ということを理由にした攻撃ということは、とうてい成り立ちません。

 アフガンへの報復戦争に私たちは反対しましたけれども、あのときは米国にたいする同時多発テロを「武力攻撃」とみなして、それへの「自衛反撃」だという議論もあったわけです。アメリカはそういうふうにいったわけです。

 しかし、こんどの場合は、イラクとアルカイダを結びつけるなんの一つの証拠もブッシュ大統領は示せないわけですから、テロとの関係で軍事攻撃を合理化することはできない。

査察問題――国連とイラクが合意した査察を、米国が妨害

 志位 第二に、大量破壊兵器ということが問題になるわけですが、大量破壊兵器の問題というのは、もともと交渉で解決すべき問題であって、戦争に訴えるべき問題ではない。

 この問題についていいますと、イラクは湾岸戦争終結のときの停戦の決議になった国連安保理決議六八七で、大量破壊兵器の廃棄を国際社会にたいして約束しているわけですから、イラクの側としては「六八七」の完全な履行ということが、私たちも当然の義務だと考えています。

 その点で、十月一日に国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の委員長のブリクス氏とイラクの当局者が会談して、「六八七」にもとづく査察で合意をしたでしょ。これはたいへん前向きの前進だと思って喜んでいたんですよ。これは中東諸国もみんな歓迎しているんですね。世界もみんなこの動きを歓迎した。

 ところが、イラクと国連が合意した査察をやろうというのに、アメリカは新しい(安保理)決議だといいだしている。新しい決議案のなかには、強制的に査察をするとか、それを受け入れなかったら、武力行使も許されるとか、イラクがのめないような条件をつきつけています。そして、せっかく国連とイラクが査察で合意しているのに、新決議が通るまでは、査察をやるなといって、いま査察を妨害しているのはアメリカの側なんですよね。

 この問題は、政治的な解決のレールはちゃんとしかれているわけです。国連とイラクが合意したわけですから、それにもとづく査察で大量破壊兵器の問題を解決すべきで、絶対に戦争は回避すべきだと思います。

 本田 かりにこの査察がまずおこなわれて、その結果、イラクの対応が不十分で、新たに国連決議ができるというような手順をふまえた場合でも戦争は回避すべきだとお考えですか。

 志位 査察の結果がどうなるかという問題はいろいろありうるわけで、そのときに新しい措置が必要になったときには国連として行動することはありうるでしょう。

 しかし、大量破壊兵器を持つ持たないという問題は、もともとこれは戦争に訴えるべき性格ではない、政治的交渉で解決すべき問題です。

 大量破壊兵器を問題にして、大規模な戦争に訴えて、バグダッドが戦場になって、何万人もの人が死ぬ。あるいは、イラクへの戦争がパレスチナ、イスラエルに飛び火して、たいへんな大戦争が起きる。そこで大量破壊兵器が使われないという保証は何もないですよね。

 ですから、これは問題の性格からいって、国際社会が、政治的交渉による解決をあくまでも追求すべきだと思います。

小泉政権の経済政策

 本田 もう一つ、重要な国内の問題に入りたいのですが、小泉内閣が新しく改造して発足して、すぐ金融政策で大きな変更をしたのではないかと。実際、ペイオフ解禁は延期をしたわけですが、しかし株はまた下がり続けていますね。この経済問題、政策は共産党としてはどう考えていますか。

「不良債権処理の加速」――税金をつかった中小企業つぶしは許せない

 志位 小泉さんが改造を九月三十日にやり、財政と経済だけでなく、金融まで竹中さんに丸投げする体制をつくったとたんに、株がどんどん下がって、いまは八千五百円まで下がるという暴落状態ですね。やはりこれは、経済の先行きが見通しのないことを市場も判定したということになっているわけです。

 いちばん大きいのは、やはり「不良債権の処理の加速」という方針をとったということです。

 この一年半、ともかく不良債権を無理やりバランスシートから落とす政策がとられてきた。私たちは、これを無理やりやったら失業と倒産の激増につながり、景気は悪化して、結局不良債権を増やす悪循環になると警告してきましたが、事態はその通りになっているわけですね。不良債権はこの一年間で十兆円増やしているわけですから。

 その道をこんどは「加速」するという。竹中流でいきますと、銀行にものすごい「きびしい査定」をやる。「きびしい査定」をやるというのは、正常債権を「不良」に落とすということですよね。どんどん「不良」の方に投げ込んでいって、どんどん資金を引きはがしてつぶして、そして銀行の自己資本が傷ついたらこんどは税金を入れてやりましょう。つまり、税金を使ってまで無理やり「不良債権の処理」を進める道をとろうとしているのが、小泉・竹中ラインだと思います。

 これをやった場合、この不景気のなかで、いよいよデフレの圧力――不景気の圧力がたいへんなことになって、日本経済はめちゃくちゃになる。この不安が市場でもでるし、国民もそういう批判を強めるという状況だと思います。

国民生活の再建を最優先に――根本的な経済政策の転換を

 志位 私は、小泉さん、竹中さんの経済政策というのは、結局大銀行にテコ入れする、大企業にテコ入れする、そうすれば日本経済はなんとかなるという理屈なんですが、これではなんともならないことがはっきりしたのが現状であるわけで、根本から経済政策を変えて国民の暮らしを応援する方向にきりかえが必要です。

 先日、緊急要求として四つの要求を出しました。社会保障の三兆円の負担増を中止する。国民と中小企業への増税計画をやめる。「不良債権処理」の名での中小企業つぶしをやめる。職場での無法をなくして、失業者の生活保障をはかる。この四つの要求を出したのですが、「国民生活の再建なくして日本経済の再建なし」というところに軌道をきりかえないと、にっちもさっちもいかないところにきていると思います。そういう転換を訴えたいと思います。

 本田 そうしますと、具体的に公的資金を投入するしないという論争がありますが、これについてはどちらの立場ですか。

 志位 とんでもないことで、絶対に反対です。

 これまでも公的資金が投入されまして、すでに三十兆円も投入してますよ。ただ、これまでの公的資金というのは、ともかくも「預金者保護のために必要です」とか、「中小企業への貸し渋りをなくすために必要です」とか、国民や中小企業のために必要だから我慢してくださいとの建前でやってきたわけですよ。しかし実態はそうではなかった。そのもとで中小企業への貸し渋りはもっとひどくなった。

 こんどの公的資金の投入というのは、そういう建前すらないんですよ。まさに、「不良債権の処理」のために税金を使うという話でしょ。「不良債権の処理」というのは、生きてがんばっている中小企業をつぶすということです。そのために税金を使うという話ですから、そこまでむき出しになっているわけですから、これは絶対にやめるべきです。

 この前、日本経済新聞を読みましたら、“とにかくこんなことをやっても、砂地に水をまくようなものできりがない。そういうやり方をすすめても、ますます景気が悪くなって、不良債権が増えて、ますます税金を投入することになり、いくら税金を投入してもきりがない”という議論も出ざるをえない状況ですから、やめるべきです。

日銀による銀行保有株の買い取り――損がでたら国民負担に

 本田 少し前に日銀が株を銀行から買うんだという新しい政策を発表しましたね。

 志位 これもとんでもないことですね。要するにいま、銀行が保有している株がどんどん下がっているわけですよね。それで、下がっている損を日銀が買い取って引き受けてやろうと。要するに銀行のリスクを日銀が引き受けてやろうと。日銀が損を出したら国民の負担になるわけですから、ほんとうに日銀も間違っている。いまやろうとしている「不良債権処理の加速」も間違っている。景気全体を国民生活を応援してよくする方向で立て直す。そして不良債権問題もそのなかで解決していくところにきりかえなければ、これは日本経済は大破たんの道になると思います。

 本田 ペイオフの解禁延期はどうですか。

 志位 ペイオフ(解禁)については、いまそれをやる条件はないといってきましたから、これは私たちはそれ自体は当然だと思います。

 ただ、私が心配しているのは、ペイオフをまた延期することで、またペイオフに向けて信金・信組つぶし、中小の金融機関つぶし、地銀つぶし、つまり地域経済、地域金融を支えてきた金融機関をつぶす動きが出てくるということを警戒しなければいけませんね。

 本田 そうしますと、経済はかなり抜本的にやり方を変えないと日本の前途というのはあまり明るくないと。

 志位 これはもう行きつくところまできたから、大転換が必要だと思います。