2002年9月7日(土)「しんぶん赤旗」

日朝首脳会談

国交正常化に向け、協議再開を期待

党首会談で志位委員長


 十七日に行われる初の日朝首脳会談について、小泉純一郎首相と、日本共産党、民主党、自由党、社民党の野党四党首との会談が六日夜、首相官邸で開かれました。日本共産党からは志位和夫委員長が出席、市田忠義書記局長が同席しました。



党首会談にのぞむ小泉首相(中央)と野党4党の党首。左端は志位和夫委員長=6日

 会談では冒頭、小泉首相が首脳会談開催を説明。「日朝間にはもろもろの懸案があるが、両国およびアジア、世界の平和のために国交正常化は重要だ。交渉再開の可能性を見極めたい。拉致、安全保障、歴史などの問題を過去、現在、将来を見すえて、包括的に率直な話し合いをしたい」とのべました。

 これを受けて、志位委員長は次のようにのべました。

 一、わが党は、日本と北朝鮮の政府間交渉の正常なルートを開くことを、早くから主張してきたが、今回の両国政府の最高責任者同士による直接の対話という決断は、歴史的意義をもつものであり、歓迎する。

 二、北朝鮮は、第二次世界大戦の戦後処理が未解決の唯一の国であり、わが国がかつて植民地支配をしていた国との国交正常化は、政府も強調しているように、わが国の「歴史的な責務」としてとりくむべき課題だ。

 また、国交正常化は、両国間の平和と友好にとってのみならず、北東アジアの平和と安定、世界の平和にも大きく貢献するものとなる。

 わが党は、首脳会談が、国交正常化の前進にむけた一歩となることを強く希望し、そのための必要な協力は惜しまない。

 三、国交正常化交渉の方式について、首相は「包括的にすすめる」と強調している。日朝局長級協議の合意では、過去の清算を含む「国交正常化に関する諸問題」と、拉致疑惑問題など人道上の問題を含む「日朝間の諸懸案の解決」を、「包括的に促進するという方式」のもとで、「正常化交渉を早期に再開することの可能性につき検討する」としている。これは、現状を前向きに打開するうえで賢明な方式だと思う。

 議題にあらかじめ優先順位をつけてそれが解決しないと他に進まないとするのでなく、日朝双方がすべての懸案を交渉のテーブルのうえにのせて話し合い、解決の道筋を見つけ出すという包括的な方法は、現状では道理のあるやり方だと思う。

 四、会談の結果が実り多いものとなることを期待するが、一回の会談で諸懸案の具体的解決がすべて得られなければ失敗などという考えに、わが党はくみしない。

 国交正常化と諸懸案解決についての両国最高責任者の政治的意思が確認されることが、まず何よりも重要だ。そして、そのための協議が再開される――国交正常化にむけた協議のレールが敷かれるなら、会談は大きな意義をもつことになると考える。そうした結果になることを期待している。

 これに対し小泉氏は「北朝鮮が国際社会の一員となることが北朝鮮にとってもプラスだ。そのことも話し合いたい。交渉では諸課題について包括的に話し合いたい。みなさんから言われたことを胸に秘めてやっていきたい」とのべました。

 志位氏は「小泉首相とは国政の基本問題ではさまざまな面できびしく対決しているが、今度の問題については、小泉首相が踏み出そうとしている方向はよい方向なので協力する立場だ。ぜひよい結果が出ることを期待している」とのべました。



 民主党の鳩山由紀夫代表は「日本の国益を最優先し、きぜんとして交渉してほしい」とし、特に拉致疑惑問題については「多少の成果が得られたからといって、正常化交渉に短兵急に進むべきではない」とのべました。

 自由党の小沢一郎党首は「拉致や不審船、核兵器などの問題があり、日本政府としてどう臨もうとしているのか。その方針がないなら行く意味はなく、かえって悪い結果をもたらす」とのべました。

 社民党の土井たか子党首は、首相の訪朝を基本的に支持する考えを示しました。


イラク攻撃に反対の立場を

 また会談では、米国のイラク攻撃についても話題となり、志位氏は次のようにのべました。

 わが党は米国によるイラク攻撃に強い危ぐと懸念をもっている。アフガニスタンに対する米軍の報復戦争に対して、わが党は反対する立場をとった。「法と理性」にもとづく解決を訴えた。ただあのときは、テロの容疑者がほぼアフガニスタンにいるという状況のもとでの「武力攻撃」への反撃だという議論もあった。

 しかしイラクに対する攻撃は、イラクにテロリストがいるという証拠も、テロリストを支援している証拠も米国は示せない。大量破壊兵器を開発している証拠も示せない。国連がイラク攻撃を許容している根拠があるわけでもない。米国が気にくわないというだけでイラクを攻撃するという先制攻撃であって、国連憲章にまったく背く無法を世界に持ち込むものだ。

 十二日の日米首脳会談ではブッシュ大統領に対して、イラク攻撃はやるべきではないということを日本政府として言うべきだ。日本も協力できないということも言うべきだ。

 国際的な批判も非常に強いということを考慮すべきだ。フランス、イタリア、ドイツも反対している。中東諸国も反対だ。日本共産党の不破哲三議長が中国の江沢民総書記と会談した際、中国側もイラク攻撃に反対という言明をしている。日本も反対の対応をすべきだ。