2002年6月24日(月)「しんぶん赤旗」

東大阪市長選

志位委員長の訴え



「汚職・腐敗のデパート」から「清潔・公正な市政」に変化

志位委員長は「この選挙は、みんなで築いた清潔・公正・『市民が主人公』の長尾民主市政をまもり発展させるか、それとも利権・腐敗・市民いじめの清水前市政のような暗黒市政に逆戻りさせるか、二十一世紀の東大阪の進路のかかった大事な選挙です。東大阪の良識を一つに集めて長尾市長再選をかちとらせてください」と呼びかけ、四年間の長尾市政のもとで、「市政の流れがたしかに変わった」として、その変化を四つの角度から明らかにしました。

 「『流れの変化』は清水前市政と対比してみるとよくわかる」とのべた志位氏が、第一にあげたのは、「清潔・公正な市政への変化」です。

 清水前市政といえば、「汚職・腐敗のデパート」でした。志位氏が前回応援に来たさいには、前市長のヤミ献金疑惑が大問題になり、その後、職員の不正採用事件、公共下水道の談合事件、果ては前市長自身の年金だましとりという異常な事件まで発覚し、前市長は逮捕されました。

 志位氏は「こんな汚職・腐敗はごめんだというのが長尾民主市政を生み出した最大の力だったのではないでしょうか。長尾市長になって、この分野での変化はめざましい」とのべ、二つの改革を紹介しました。

 一つは、職員採用制度の改革で、「東大阪方式」と呼ばれるもの。不合格者のなかで希望する人に成績を通知するもので、大阪府下では初めて。縁故・不正人事を一掃し、大阪の手本となり、いまでは府下三十二市中、十六市がとりいれるまでになりました。

 二つ目は公共事業入札制度の改革で、入札予定価格と最低制限価格を事前に公開し、談合を防止するものです。この結果、予定価格にたいする落札価格は、前市政の四年間が96%だったものが、長尾市政で92%に下がり、四年間で最大二十八億円も節約された計算になります。

 志位氏は「清潔・公正な政治は民主政治の土台。どんな行政も、市民の信頼ぬきに力を持ちません。この土台をしっかり築いたことは、長尾市政最大の成果ではないでしょうか」と訴えかけると、大きな拍手がわきおこりました。

 国政では鈴木宗男議員が逮捕されたことにふれ、「これは鈴木氏個人の問題ではありません。自民党とそれに追随する勢力全体が腐りきっていることの象徴の事件です」と強調。鈴木議員が公共事業などに介入し、税金を食い物にしていたこと、「ムネオマネー」が自民・公明の議員にばらまかれ、受け取った側の政治的・道義的責任も問われるとのべました。

 志位氏は、「あきれたのは公明党の反応です」とのべ、「ムネオマネーが自民・公明の議員にばらまかれた」との志位氏の会見がNHKで放送されると、大あわてで、公明新聞が「志位氏の“公明中傷”発言に反論」「ムネオ疑惑とは全く無関係」などという見出しで、冬柴幹事長の発言をのせたことに言及。

 「冬柴氏は同じ発言で、公明党議員が鈴木議員から五十万円をもらった事実を認めている。ムネオマネーをもらってなにが『無関係』か。国民の税金を食い物にしたカネのおこぼれにあずかりながら、反省のひとかけらもなく、逆うらみして『中傷』と非難する。こういう勢力が、清潔・公正な長尾市政への無法な攻撃の中心に座っています。絶対に負けられません」と強調しました。

福祉切り捨ての「先進地」からぬくもりある市政に

 第二に志位氏があげたのは、「福祉と暮らしをまもる市政への変化」です。前市政は、「地方行革」というかけ声で福祉切り捨てをやる「先進地」とよばれましたが、長尾市政になって、血の通ったあたたかいぬくもりのある市政に変わってきています。

 たとえば独り暮らしなどのお年寄りへの「配食サービス」です。九八年に四万食程度だったのが、昨年度は十二万食。声かけで、安否の確認にもなります。

 「介護保険の現場調査」も、市職員が弁護士、ケースワーカーと組んで実態や利用者の意見を直接聞く、全国初のとりくみです。

 「学校施設の改修」も、前市政では解決に十年かかるといわれたものを、二百カ所以上を三年で解決しました。

 志位氏は「冷酷非情な市政から、市民一人ひとりの悩みや苦しみに心をよせる方向に市政の流れが大きく変わりました。国が国民いじめをやっている時こそ、こういう自治体が必要です」と力をこめました。

中小企業支援に本腰――「日経地域情報」も「意気込みが表れている」と評価

 第三に志位氏は、「中小企業の支援に本腰を入れてのりだした」ことをあげました。東大阪は中小企業の街ですが、前市政では支援らしい支援はなく、当時、東大阪でおこなわれた「中小企業都市サミット」でも、中小企業対策費の予算に占める割合が参加十市中、最下位だったことが大問題でした。

 長尾市政は「中小企業の全事業所実態調査」にとりくみ、市の幹部職員が二年がかりで三万をこえるすべての事業所を訪問。西日本ではじめての画期的事業です。市と業者が心を通わせ、力をあわせて中小企業の発展をかちとる土台が築かれ、融資も大幅に充実し、予算にしめる中小企業対策費の割合は一・五倍になりました。

 「受注拡大支援のネットサービス」も全国初です。二年前にインターネットによる「技術交流プラザ」を開設。市内約千百社の情報を発信、サイト全体に全国から一千万件以上のアクセスがあり、「日経地域情報」の特集で、わずか二カ月で大分県の半導体関係の業者の受注があった例などを紹介し、「モノづくりのまちを復活させようとする市の意気込みが表れている」と評価されています。

「解同」に食い物にされていた同和行政の乱脈・不正ただす

 第四に志位氏は、「『解同』(部落解放同盟)に食い物にされていた同和行政の乱脈・不正をただした」ことを「大きな成果」として強調しました。

 前市政では、「解同」いいなりのひどい腐敗と利権がはびこり、保育所では一般の二倍の保母さんが配置され、同和住宅は家賃が一般の三分の一でした。長尾市長は、歴代市長がだれも手をつけなかったこの問題に勇気をもって正面から切りこみ、「解同」が事実上支配する「地区協議会」の了解がないと同和行政がすすめられないという違法、無法な方式を廃止し、補助金を打ち切るという画期的改革を推進。逆差別の同和行政は終結にむけて大きく動き出しました。

公明・「解同」連合、自民党による暗黒市政への逆もどりをきっぱり拒否しよう

 そのうえで志位氏は、「相手の陣営は、どちらも清水前市政の流れをくんだ勢力です。頭は二つだが、胴体は一つ」とのべました。

 一人は、前回市長選で「清水市政の継承」を公約して落選した人物です。志位氏は「この人物を推している主力は、公明党・創価学会と『解同』です」とズバリ指摘。この候補は「解同」の集会で、これからは「地域協の役割が非常に重要になる」とのべ、利権政治の復活を事実上公約しています。

 志位氏は、「腐敗政治に無反省の公明党と、利権あさりの『解同』というのは最悪のコンビです。くわえて、推薦している自民党代議士はムネオマネーを百万円もらっている」とのべ、「こういう勢力に市政をたくしたら、どんなひどいことになるか、火を見るより明らかです」と訴えました。

 もう一人の候補も、「自民党市議団長として清水市政を支えてきた人物。暴力団との関係でも『あいさつぐらいはする』と言っている。どちらも、市政を担う資格はありません。暗黒市政への逆戻りはきっぱり拒否しましょう」と呼びかけると、大きな拍手と歓声がわきおこりました。

 そして、「どちらもひたすら長尾市長攻撃に熱中しているが、この攻撃はやればやるだけ自分にはねかえってくる」とのべました。

 第一は「国保料の引き下げを実行していない」という攻撃です。志位氏は、「長尾市長が国保料を下げようと必死の努力をし、議会にそのための予算を提出したときに『どぶに捨てるようなもの』と妨害したのは、自民、公明ではありませんか。だいたい東大阪の国保料をこんなに高くしたのはだれか。前市政の九年間で国保料の限度額を三十七万円から五十二万円にするなど、連続値上げを推進したのは自民、公明ではありませんか」とのべ、「引き上げ推進、引き下げ妨害勢力に、長尾市長の悪口をいう資格はない」と強調しました。

 長尾市長は妨害のなかでも、国保料の値上げをくいとめ、一般会計から国保会計への繰り入れを四年間で五十億円から六十一億円に増やし、繰り入れは被保険者一人あたり府下三十二市でトップです。志位氏は「長尾再選で、妨害勢力をはねのけ、本格的引き下げに前進しましょう」と訴えました。

 第二は「市政を混乱させている」というものですが、志位氏は「これはそっくりお返ししたい。公明党などが先頭にたち、難癖をつけて議会をボイコット、流会させてきた。地方自治法にさだめられている市長の議会招集権を認めないのは、市長の権限を侵害する無法行為です。党利党略の無法で議会をもてあそぶのは全国でも東大阪の一部勢力だけ。長尾市長再選で、無法を一掃し、自治体運営のまともなルールを確立する選挙にしていきましょう」と訴えました。

 最後に、「長尾さんは日本共産党員の市長です。だからこそ、勇気をもって市政を変える先頭に立ってきた。『国民が主人公』というのは、日本共産党の伝統であるだけでなく、民主市政の発展を願う市民の党派を超えた思いとも一致しているのではないでしょうか。共同の輪を広げぬき、必ず勝利をかちとりましょう」と呼びかけ、割れんばかりの拍手、声援がわきおこりました。