2002年5月25日(土)「しんぶん赤旗」

国民の願いを逆手にとった疑惑政治家保護法案

「個人情報保護法案の廃案を求める緊急集会」での志位委員長のあいさつ

(大要)


 野党四党が二十四日、国会内で開いた「個人情報保護法案の廃案を求める緊急集会」での日本共産党の志位和夫委員長のあいさつ(大要)を紹介します。


“悪魔の一振り”であらゆる疑惑追及を封印

 日本共産党を代表してごあいさつを申し上げます。

 自民党という政党は、国民のみなさんの切実な願い、プライバシーを保護してほしいという願い、どんな切実な願いも、“魔法の一振り”といいますか、“悪魔の一振り”でまったく悪い、まったく別物に変えてしまう政党だということをつくづく今度の法律で思います。

 ことの始まりは、住民基本台帳法が改悪されて、プライバシーの侵害への不安が高まったことにありました。「プライバシーを守ってほしい」――国民のみなさんのこの当然の願いを逆手にとって、この法案を作った。

 「個人情報保護法案」と書いてあるけれども、中身は、「疑惑政治家保護法案」であることは明りょうであると、私は思います。

 そして、この法案の「基本原則」を見ればこの中身は極めて明りょうです。たとえば、「個人情報の取得にあたっては適法かつ適正になされなければならない」、「取り扱いにあたっては本人の適切な関与がなされなければならない」。

 一見至極もっともなようでありますけれども、鈴木宗男さんに当てはめてみれば、「鈴木宗男議員の適切な関与がなされなければならない」となりますと、あらゆる追及が封印されてしまうことになると私は思います。外務省の内部文書を公表することもできなくなる。「適正」なのか、「適切」なのか、「適法」なのか。そして「このニュースソースはどこなんだ」と鈴木宗男さんがいったとしても、「このニュースソース明かすことできません」ということになります。こういうことでも「本人の関与」が認められなければならないとなったら、まともな報道はできない。こういうとんでもないことが「基本原則」に入っている。

「罰則がないから」−−政府の言い分は二重に成り立たない

 政府の言い分は、罰則がついていないから心配はないと、これは「基本原則」なんですと、いうことです。しかし、これは二重になりたたないと思います。

 まず、罰則がなくても、例えば報道機関なら、そういう疑惑政治家の報道をしたさい、名誉棄損ないしは損害賠償で訴えが起こったと。このときはこの「基本原則」で裁判が行われるわけですから、敗訴していく可能性が出てくる。そうなると結局それを意識して報道ができなくなる。

 二つ目に、たしかに報道機関は罰則から除外されたかもしれないけれど、個人の方、フリーライターの方とか、著述業の方とか、雑誌のさまざまな執筆をされている方、小説家の方、写真家の方、個人の方には、罰則がかかってこないという保障がどこにもないわけであります。

 まさに、言論弾圧法であり、表現の自由弾圧法だというふうに、私は考えます。ぜひこれは力をあわせて廃案に追い込んでまいりたいと思います。

たたかいを合流させ、内閣を追いつめ必ず廃案に

 そして、国会の状況全体を申しますと、昨日、野党四党の党首会談を開きまして、小泉内閣の打倒ということを確認したのとあわせて、いま問題になっております有事法制についてもムチャクチャな強行というやり方には対決するという大事な合意がされたと思っております。

 いま、国会はいろんな悪い法律が“渋滞状態”です。この法律もそうですが、有事法制も、これはさまざまな意見があるでしょうけど、与党だけでごり押ししていいようなものではありません。そして、健康保険法の改悪の問題もある。いろんな法律が“渋滞状態”でありますけども、それぞれのたたかいを、それぞれに起こして、全体として小泉内閣を追いつめて、必ずこれを廃案に追い込むために、日本共産党も力を合わせてがんばりぬくという決意を最後に申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。ともにがんばりましょう。(拍手)