2002年5月20日(月)「しんぶん赤旗」

疑惑追及、自衛隊問題、社会主義、党名のこと…

志位委員長 縦横に語る

TBS「朝なま報道局」


領事館事件

事実にもとづく道理ある外交こそ信頼えられる

 日本共産党の志位和夫委員長が十九日早朝に放送されたTBS番組「草野満代の朝なま報道局」に生出演しました。草野キャスターと日経新聞の田勢康弘論説委員とのトークで、疑惑追及や自衛隊の問題、社会主義、党名問題など縦横に語りました。

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TBS系「草野満代の朝なま報道局」に出演する志位委員長(右)=19日

 その日の朝刊を一緒にみるコーナーでは、中国・瀋陽総領事館事件が話題に。このなかで志位さんは、外務省の調査報告書後、「新しい事実が出てきている」と指摘。(1)日本側の警備担当副領事が武装警官詰め所で脱出者から亡命を求める手紙を受け取りながら、つき返した(2)事件直前、阿南駐中国大使が不審者は追い返せなどと指示していた(3)脱出者が連行された直後、査証担当副領事が遼寧省外事弁公室に電話、中国側は感謝するという内容だったとしている(4)最初に中国側と対応した副領事が現場の武装警察の大隊長と握手を交わしていた――の四点をあげました。

 そして、「どれも日本側にとって不利となる事実。これを追認する形で認めざるをえないとなると、最初の(外務省の)発表は何だったのかという信頼性に大きな疑問符がつく、というのがいまの状況だ」と述べ、問題の核心をつきました。

 志位 一つ、苦言を呈したいのは小泉さんの立場です。いま、民主党の調査団がいって新しい事実が出てきますと、「これは自虐的だ」といって抑えようとするでしょう。あれは非常にまずい。外交というのは、事実にもとづく道理のある立場をとってこそ信頼が得られるのであり、事実を明らかにすることが何か国益に反しているみたいな言い方はまずい。きちんと事実を明らかにすることが大事です。

 番組では、「疑惑追及の急先ぽうにたってきた日本共産党に注目が集まっています」として、鈴木宗男疑惑や機密費問題で日本共産党の追及ぶりを紹介。党員数の推移もグラフで示し、志位さんも「これは全国のみなさんの奮闘でこういうことになりました」とコメントしました。

自衛隊問題

九条を断固守りぬきながら、解消の現実的なプログラム明らかに

 草野さんは「柔軟現実路線の一つとして自衛隊の活用も決めたんですか」と質問。志位さんは「憲法九条は、断固守りぬくし、自衛隊は違憲だから国民の合意でなくすということは変えません。ただ現実的なプログラムをもつ必要がある」として、日本共産党の考え方を説明しました。

 志位 自衛隊をなくしていくには一歩一歩段階をへて、国民の合意でことをすすめることが必要で、一定の時間がかかるんです。安保条約をなくした段階でも自衛隊をすぐなくすわけにはいかない。一定、自衛隊と共存する期間があるわけです。もし共存する期間に、これは理論的設定ですが、万万万が一のことが起こったら、あらゆる手段で抵抗する必要がある。そのときは自衛隊も活用していくことは当然です。

なぜ党勢のばしたのか

旧ソ連の干渉とたたかい、ソ連型抑圧社会をきっぱり拒否

 また、「共産主義」をめぐってこんな問答もありました。

 田勢 世界的にみると、東西冷戦崩壊である種、共産主義はまけたのではないかとの雰囲気があるなかで、なぜ共産党が党員数を伸ばしているのか、なぜ支持率があがったのかは非常に不思議な現象傾向ですね。

 志位 ソ連との関係では三十数年来、(日本共産党の指導部を)転覆させようとか非常にむちゃな干渉があり、それと激しくたたかってきた歴史がありました。そのたたかいを通じて、これ(ソ連)は共産主義でも社会主義でもないという認識をはっきりさせていく過程があって、私たちはソ連型の抑圧社会は絶対に拒否することをはっきりさせました。ソ連とそういうたたかいがあるものですから、私たちはソ連崩壊というなかでもふみとどまって、逆に伸ばしていくことができたのです。

 番組のなかでは、タレントのテリー伊藤氏がビデオで「どういうふうに国民を豊かにさせてくれるのかが大きな問題だ」とメッセージ。

 志位 多くの方々が党を支持していただくうえでは原則をつらぬきながら、現実にそくした柔軟性も発揮していく必要がある。そういう努力が必要で、国民の暮らしを豊かにすることへの答えも当然もっていますが、自衛隊の問題も解決していく現実的な道筋を示していく必要がある。一つひとつの問題で、共産党にまかせても安心だな、じっさい、政権の一翼に参加しても大丈夫だなと思っていただけるような努力が必要だと思います。

党名について

理想社会を刻んだ名前、21世紀は資本主義をのりこえる世紀に

 さらに、「党名を変えたら」との質問には、「私たちのめざす終局的な理想社会を刻んだ名前だから(変えません)」ときっぱり。

 志位 クリントン政権のブレーンが、“いかにして富を公正に分配するかの答えを出さなかったら、つぎのマルクスが現れて世界がひっくりかえる”といわざるをえないくらいに、南北問題、恐慌の問題、環境問題など“資本主義では人類はもうもたない”という課題がたくさんありますから、二十一世紀は資本主義を乗り越える新しいところに人類がいく世紀になると思います。

 番組の最後に、志位さんがピアニストのリヒテル氏の熱烈なファンであることが紹介されました。志位さんは、リヒテル氏の言葉のなかで好きなものとして「不意打ちの感覚の誘発が感動をよぶ」という言葉をあげ、「紋切り型の演奏でなく、観客にとって不意打ちのように感じられる意外性のある演奏こそ感動を呼び起こすというリヒテルの言葉、その演奏はすばらしい」とのべました。

 田勢さんはトークを終えた感想として「本当に政権を視野に入れたとき、共産党に対する国民のイメージの幅を広げていくかが問われる」とのべ、「志位さんの穏やかさは、自信に裏付けられているところからくるのではないか」と語りました。