2002年5月3日(金)「しんぶん赤旗」

井上前参院議長が議員辞職

疑惑にフタしたまま有事法制、医療改悪強行は許されない

集中審議 証人喚問 鈴木議員辞職 最優先に

志位委員長が会見


写真

記者会見する志位和夫委員長=2日、国会内

 井上裕前参院議長(自民党籍離脱中)の前政策秘書による公共事業口利き疑惑で、千葉地検は二日、工事の予定価格を漏らしていたとして、偽計入札妨害の疑いで、前政策秘書の半田好雄容疑者(48)ら六人を逮捕しました。これを受け、井上氏は同日午後、「政治的、道義的、社会的責任を取る」として、倉田寛之参院議長に議員辞職願を提出しました。今国会中、国民の血税を使った公の事業を私物化、食い物にしていた疑惑で秘書が逮捕されたのは、加藤紘一元自民党幹事長(議員辞職)の私設秘書、鈴木宗男衆院議員(自民党離党)の公設秘書に続いて三人目。自民党の金権・腐敗体質が一挙に噴き出す異常事態になっています。

 日本共産党の志位和夫委員長は二日、国会内で記者会見し、公共事業への口利き疑惑にからんで井上裕前参院議長が議員辞職した問題で、「これだけ深刻な疑惑が次々と出てきているなかでは、連休明けの国会のあり方が問題だ。疑惑にフタをしたまま、与党が有事法制、医療改悪法案を押し通すということは、到底許すことができない」と強調しました。

 志位氏は、(1)公共事業疑惑と機密費疑惑の徹底解明のために集中審議を衆参両院の予算委員会でおこなうこと(2)井上氏など関係者の証人喚問(3)鈴木宗男衆院議員の辞職勧告決議案のすみやかな本会議上程――の三点が「最優先の課題になっている」とのべ、野党四党で結束して、この問題に対処していく考えをしめしました。

 志位氏は、加藤紘一自民党元幹事長、鈴木宗男議員、井上氏の秘書が相次ぎ逮捕されたことにふれ、「これらは、公共事業や北方支援事業など、国民の税金を食い物にしてきた疑惑という点ですべて共通している。自民党と国会、政府の中枢、要職を占めてきた人物にかかわった疑惑がこれだけ連続するということは、まさに、公共事業、血税を食い物にするのが自民党の体質だということを物語っている」と指摘。

 井上前議長の疑惑については、「議員辞職は当然だが、国民への説明責任をなんら果たしていない点が重大だ。検察が、政策秘書に入札妨害で強制捜査に入ったということは、同秘書が口利きして受注した、建設会社からの六千四百万円をもらっていたという事実を認めたことを意味する。井上氏の側も、その事実を認めたようだ。そうなると、これまでの井上氏の受け取っていないという弁明は完全に崩れ、国民にウソの弁明をしてきたことになる」とのべ、「井上氏には、真相を語る責任がある」と指摘しました。

 そのうえで、「問題の性格は一議員の口利き疑惑にとどまらない。参院という一つの院の議長の権威を背景にした腐敗事件であり、まさに院の権威が問われる問題だ。あいまいにすることは許されない」とのべ、井上氏と逮捕された政策秘書、建設会社元社長の三人の証人喚問を求めました。