2002年2月26日(火)「しんぶん赤旗」

有事法制を考える市民と超党派議員の緊急集会

志位委員長の発言

(大要)


 二十五日に開かれた「有事法制を考える市民と超党派議員の緊急集会」での日本共産党の志位和夫委員長の発言(大要)は次の通りです。

 みなさんこんばんは、日本共産党の志位和夫です。

 有事立法というのは、一九五四年に憲法を破って自衛隊をつくったときから、歴代の自民党政権が一貫してやろうとしてきた野望です。

 戦後くりかえし立法のくわだてがありましたが、しかし、それは実行に移せないできました。私は、それには理由があると思います。それは有事立法というのが、憲法と絶対にあい入れない、あまりにも危険な立法である。だから、歴代の政権は手をつけられなかった。それを小泉政権は手をつけようとしている。許すことができません。

戦争に反対するものを“犯罪者”とする違憲立法

 有事立法というのは、戦前のものであれ、いまくわだてられようとしているものであれ、政府がすすめる戦争に協力することを国民に強制し、協力しない国民には罰則を与えるということで共通していると思います。

 政府が戦争をおこす。その時にお医者さんを徴用する。看護婦さんを徴用する。運送業者さんを徴用する。土地を勝手に使う。そういう協力を罰則つきで強制する。これは恐ろしいことではありませんか。

 罰則つきで強制するというのは、その強制に従わないものは“犯罪者”になるということです。法によって罰せられるということですから、“犯罪者”になるということです。つまり戦争に協力しないもの、戦争に反対するものは、“犯罪者”にするというのが、私は、有事立法の本質だと思うのであります。(拍手)

 しかし、日本の憲法というのは、戦争を放棄している。政府は戦争をおこしてはいけない、そして、戦争に協力しない、これこそ憲法の根本精神ではないでしょうか(拍手)。戦争に協力することは犯罪だというのが、憲法の根本精神ではないでしょうか。戦争に協力しないものを“犯罪者”とするのは、私はまさに違憲立法以外のなにものでもない、絶対に許してはならない、このように考えるものであります。(拍手)

有事の「備え」の次にきたのは侵略戦争――これが歴史の教訓

 しかもいま、現実に想定されている戦争とはどのようなものでしょうか。

 政府は、「日本にたいする武力行使がおこなわれたさいの対処」ということをいいますけれど、いったいこの日本にどの国が大規模な武力侵攻をやるというのか。そんな国がどこにあるというのでしょうか。私たちが国会で聞いても、防衛庁長官自身が「当面そんなことは想定できません」といわざるをえない。そんな国はありませんよ。

 そうなりますと結局、本当のねらいは、日本を守るための立法ではなくて、日米が共同で海外での戦争をやる、それに罰則つきで国民を動員するのが有事立法の真のねらいだと私は思います。

 日本の歴史をひもといてみても、戦前の戒厳令、国民総動員令などの有事立法は、どれ一つとして「日本を守る」ために使われたことなんかありません。有事の「備え」のあとに来たものは侵略戦争だったというのが歴史の教訓ではないでしょうか。(拍手)

ただちに自衛隊は中東から撤退せよ

 じっさいいま、現実の最大の危険がどこにあるでしょうか。

 ブッシュ大統領が「悪の枢軸」という発言をして大問題になっております。イラン、イラク、北朝鮮を名指しして、軍事力行使をもふくむ行動に出るんだということをのべています。これには中国もロシアもヨーロッパもみんな反対の声をあげている。アラブ諸国ももちろん反対です。

 その中でただ一人、この前の日米首脳会談で、これに無条件の支持を与えたのが小泉首相でした。

 みなさん、このままでは私は、イラクにたいする戦争にただ日米だけが、この二国だけが戦争をやるという恐ろしい事態になってしまう危険が、現実のものとしてあると思います。

 みなさん、いまアフガンでは、ともかく復興が始まっています。復興が始まっているもとで、どうして自衛隊がまだ中東に派兵されたままなんでしょうか。いま自衛隊が中東でやっていることは、アメリカの艦船に給油などの補給をして、“ガソリンスタンド”を海の上でやっているんでしょう(笑い)。どうしてこんなことをやる必要あるんでしょうか。

 とっとと自衛隊は憲法違反の海外派兵をやめて、日本に引き揚げるべきだ。ただちに引き揚げるべきだ。そう思います(拍手)。それやらなければ、アフガンの攻撃に使われていると思って油を注いでいたら、いつのまにかイラクの攻撃に使われていた。そんなことになりかねません。

 私はただちに自衛隊は撤退せよということを強く主張したいと思います。(拍手)

 みなさん、有事立法を粉砕するために最後までがんばりぬこうではありませんか。日本共産党もがんばります。(大きな拍手)