2001年10月1日(月)「しんぶん赤旗」

テレビ朝日系サンデープロジェクト

志位委員長の発言(詳報)


 日本共産党の志位和夫委員長は、九月三十日、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」に出演し、米国での同時多発テロ事件、日本政府の対応などをめぐり、各党党首・幹事長と討論しました。出席者はほかに、自民党の山崎拓幹事長、公明党の神崎武法代表、保守党の野田毅党首、民主党の鳩山由紀夫代表、自由党の小沢一郎党首、社民党の土井たか子党首。司会は田原総一朗氏です。

テロは犯罪として“法による裁き”を
「戦争」として軍事報復は泥沼化

 志位氏はまず、「いままでもテロリズムというのはたくさん繰り返されてきたが、国際ルールではハイジャック犯の場合でも、被害を受けた国に身柄を移して、裁判で“法に基づく裁き”をルールとしてやってきた」と指摘。

 「今回のテロ事件は許しがたい卑劣な未曽有(みぞう)のものだが、犯罪として法に則って裁くべきであり、『戦争』といって、軍事力を行使して報復するというやり方をとれば、罪なきたくさんの人が犠牲になり、泥沼化を招くのでやるべきでない」と述べました。

イージス艦の派遣
いったい何の情報を収集しにいくのか

 「情報収集」のためにイージス艦をインド洋まで派遣するとした政府方針について志位氏は「イージス艦が収集する情報というのは、要するに航空機やミサイルなどの情報。遠く離れた海上のイージス艦からテロリストの情報がとれるわけがない。結局、インド洋にかりに行ったとしたら、データリンクでアメリカの空母機動部隊と情報が全部連結する」と述べ、戦時にアメリカへの情報提供はしないと強弁する山崎氏の言い分を批判しました。

 公明党の神崎氏は「日本のタンカーなど日本の船舶に情報を提供できるようにする」などと発言。志位氏は、「そんなことは、イージス艦を送らなくたって、タンカーの情報はとれるではないか」と述べました。

 「(アメリカへの)情報提供は、なぜいけないのか」とする野田氏らに対し、志位氏は、「歴代の政府の答弁でも、空母を護衛したら、武力行使になるといってきた。何度も何度も政府の答弁でいっている」と指摘。「結局、情報を共有するということは、かりに航空機がやってきた、ミサイルが飛んできたという時の情報を空母に知らせていくということであり、いっしょになって戦闘行動をやるというまさにそのことだ」と述べ、「山崎氏は戦時には情報は教えないと言ったが、野田氏は戦時もちゃんと情報を流すと言っている」と与党側の矛盾を突きました。

“武力行使と一体化せず”は通用しない

 米軍への支援の一つとして行なう「輸送」「補給」など兵たん支援について、「武力行使と一体ではない」などと強弁する与党側に対し、志位氏は、「そのごまかしが通用しなくなってきている」と述べ、「これまでのガイドライン法というのは、要するに“後方地域支援だ”“安全なところでしかやりません”というのが建前で、政府は、“武力行使と一体化にならないから集団的自衛権行使じゃない”と言ってきた。今度は首相が『危ないところに行かせる』といっている」と指摘。「つまりいつ戦闘がおこるかわからない、そこに行かせるといっている。そこに行かせるといっておきながら、“武力行使と一体化ではありません。集団的自衛権(の行使)じゃありません”というのは、本当に通用しない話だ」と批判しました。

 田原氏は、神崎氏に「野戦病院が攻撃されたときにどうするのか」と質問。神崎氏が、「防御はするが、攻撃はしない」とあくまで防衛的な措置であることを強調しました。

 志位氏はこれに対し、「自衛隊関係者にきいてみると、医療こそは一番戦場に近いところでやるという。つまり、負傷兵を遠くからトラックで運んできたりしたら、その間に亡くなってしまう」と危険性を指摘しました。

報復戦争に参加することを無条件に前提とした議論は間違っている

 最後に志位氏は「議論の全体を通じて、テロ根絶のために、アメリカがやろうとしている大規模な報復戦争が本当にいいのかどうなのか、私たちは、国連を中心とした司法的解決のために、一つひとつ国連中心に手続きをとるべきだといっている。この議論をきちんとしなくてはだめだ。それがあたかも、米軍がやることはすべて無条件に結構だ、日本はそれにどう参加するか、という議論だけをやっていたら、間違いだと思う」と指摘しました。