2001年8月14日(火)「しんぶん赤旗」

侵略戦争肯定する暴挙に抗議

志位委員長が記者会見

 小泉純一郎首相が十三日、靖国神社への参拝を強行したことにたいし、日本共産党の志位和夫委員長は同日、国会内で記者会見し、次のようにのべました。


 一、靖国神社は、侵略戦争を「正しい戦争」だったとする立場で、戦没者をまつっている特別の神社だ。そういう神社に参拝することは、どういう理由をつけようとも、首相が侵略戦争を肯定する立場に身を置いていることを、みずからの行動をもって示すものとして、ほんとうに許されない。

 参拝の日にちを十五日から十三日に移したということで、内外の批判を考慮したような談話を出しているが、このことで問題の本質が何ら変わるものではない。まさに姑息(こそく)なごまかし以外のなにものでもないといわなければならない。

 日本共産党は、憲法をじゅうりんし、内外の良識ある人々の平和への願いをじゅうりんするこの暴挙に、きびしい抗議を表明する。

 一、靖国神社が戦前果たした役割というのは、「天皇のための名誉の戦死」をした人々を「英霊」としてまつるという、侵略戦争と軍国主義を推進する精神的シンボルだった。これはまぎれもない歴史の事実だ。

 戦後も、靖国神社が一宗教法人となって以降も、侵略戦争を肯定する立場はいささかも変わっていない。

 神社はいまでも、旧陸軍を創設した人物の巨大な像がたち、特攻兵器だった「回天」など戦争で使われた数々の兵器が展示され、「軍人勅諭」の碑がたち、強制労働でつくった泰緬(たいめん)鉄道の機関車が展示されるなど、神社そのものが侵略戦争肯定の立場にたっているということは、神社を見ただけで歴然とする。

 いま靖国神社では「かく戦えり。近代日本」という特別展をおこなっているが、そのパンフレットをみると、日清戦争、日露戦争から始まり、「満州事変」「支那事変」「大東亜戦争」――彼らは太平洋戦争のことを侵略戦争肯定の立場から「大東亜戦争」と呼ぶわけだが――と、すべてが侵略戦争肯定の立場で書き連ねてある。そういう特別展をやっている。

 首相が参拝したのは、そういう神社だ。きょうの談話で「誤った国策にもとづく植民地支配と侵略」にたいして反省をするという趣旨のことをのべたが、これを百万回のべようと、それとまったく反する行動をとったというのが、きょうの首相の参拝だ。

 一、この行動は、アジア諸国と日本との友好にもはかりしれない打撃をあたえた。首相は「まず参拝してから理解を求める」といっているが、あるアジアの有力新聞が「人をけっておいてから、理解を求めるとはなにごとか」と批判したように、ともかく強行したあとで、あとはいうことを聞けというのは、ごう慢ふそん以外の何ものでもないといわなければならない。

 一、いま靖国神社の問題と歴史教科書の問題があつい焦点になっているが、かつての戦争を「大東亜戦争」として“これは日本の自衛のため、アジア解放のための戦争であり、立派な目的をもった戦争なんだ”というふうに肯定、美化する潮流が台頭し、政府もその立場に身を置くという事態が進んでいることは、二十一世紀の日本の平和と民主主義、日本とアジア諸国との関係にとって、たいへん危険なことだ。

 日本共産党は、創立七十九年になるが、侵略戦争に身をもって反対を貫いた党として、「大東亜戦争」肯定論の立場に立つさまざまな動きにたいして、きっぱり反対していきたい。




著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7