2001年7月6日(金)「しんぶん赤旗」

CS放送朝日ニュースター 志位委員長語る

参院選の争点、小泉外交の問題点について


 日本共産党の志位和夫委員長は五日、CS放送朝日ニュースターの「各党はいま」に出演し、参院選挙に日本共産党はどう臨むか、小泉政権の外交や、経済財政運営の基本方針をどう見るかなどについて、小林暉昌朝日新聞編集委員のインタビューにこたえました。(4日収録)


 志位氏は参院選の争点について、景気と経済の問題、憲法と平和の問題の二つの角度から述べました。

景気をどうする

日本経済をどう立て直すかが大きな争点

 「今度の選挙は、国民の願っている切実な思いとの関係で、たたかいがいのある選挙だと思っています」と切り出した志位氏が第一にあげたのが「この不景気をどうするのか、日本経済をどう立て直すのか」という問題です。

 志位氏は、「どの世論調査を見ても六割から七割の方々が、いま政治に期待するものは『この不景気をなんとかしてほしい』といっています。これにこたえられるのはどの党かということが大事なところです。私たちはこの間、消費税の減税、社会保障の安心、雇用拡大を中心とする景気回復策を出してきましたが、まとまった形で日本経済立て直しを提案しているのは日本共産党だけです」と指摘。

 そのうえで「景気悪化策はあっても景気回復策はなしが、小泉『改革』です」と批判。「国民には倒産と失業をひどくし、社会保障切り捨て、増税をすすめるという三つの痛みを押しつけるというメニューだけがならび、景気の悪化をすすめる内容が中心。骨太方針(経済財政運営の基本方針)にはどこを見ても、景気をこうして良くしますという方針が一つもない」と述べ、「景気と経済を立て直す一票は、日本共産党にと訴えていきたい」と強調しました。

21世紀の日本の進路の羅針盤

憲法か安保かが問われている

 志位氏はもう一つ大きな問題として、憲法と平和の問題をとりあげ、「小泉政権になって、かなりきな臭いにおいがしてきた、心配だという声が広がっています」と述べ、一例として「集団的自衛権行使の研究」について言及しました。

 志位氏は、「これはじつは、日本が攻められたときの自衛の話ではなくて、日米の両軍が海外で戦争に乗り出す話だということが国会の議論でかなり明らかになってきました。これは、憲法九条をおおもとから壊してしまう動きにほかならないわけで、こういう動きを許していいのか、憲法九条を守るのか、壊すのかがひじょうに大きな争点です」と指摘しました。

 さらに「こうした憲法を壊す動きはアメリカ仕込み、日米安保体制というところから起こってきているわけで、大きくいえば、二十一世紀の日本の進路の羅針盤にすべきものは、憲法九条なのか、日米安保なのかが問われてくる」と述べ、「私たちは憲法九条を生かした国づくりを進めようという立場です。日米安保はなくしていこうという立場ですが、これも大きく訴えていきたい」と述べました。

小泉外交

アメリカいいなり外交には指一本ふれず

 日米首脳会談など小泉政権の外交の問題点について志位氏は、「『聖域なき改革』といっているが、日本のアメリカいいなりの外交は『聖域中の聖域』で指一本ふれないという印象です」と指摘。

 ミサイル防衛構想については、「防衛構想というからなにか守る構想かというとけっしてそうではない。矛と盾の関係で、盾を強くすれば矛を自由に使えるわけで、今度のアメリカの構想は、相手国のミサイルを発射直後の段階で撃ち落とすというものです。それが完成したら、アメリカが自由に核戦争ができるようになる。ロシア、中国、フランス、ドイツなどからも警戒の声が寄せられています」と指摘しました。

 そして、「そのさなかに日本の首相がいって『結構、結構』と理解を示し、日本もその一翼を担ってTMDの研究を進めますということをいうわけですから、被爆国の対応としては本当に落第の対応です」と批判しました。

 また、基地問題への首相の対応をめぐっても、沖縄での米兵による女性暴行事件について小泉首相が「あまりぎすぎすした対応をするな」と発言したことをあげ、「この発言は沖縄県民に向けられているわけです。北谷町では抗議決議があがるなど、沖縄では大変な怒りがわきあがっていますが、その当然の怒りに対して、『ぎすぎすするな』と抑えつける発言をするわけですから、国民の暮らしの痛みについて理解がないだけでなく、基地の痛みについても本当に理解がないと思います」と発言しました。

 京都議定書の問題でも志位氏は「日本が批准して当たり前という声がこれだけ広がっているのに、アメリカと共同歩調をとって、結局、修正にも道を開くような話になっている。どの分野を見ても自主的な態度が見られません」と批判しました。

骨太方針

景気対策なしが致命的弱点

 最後に志位氏は、政府の骨太方針の評価を問われ、「政府でさえ『景気悪化』をいうなかで、景気対策、需要を回復させる方策がいっさいないというのが致命的弱点」と指摘。一方、国民に「痛み」を強いるという点では、「不良債権の最終処理」でも、政府の公的圧力のもとですすめることや、社会保障でも医療費の総額抑制など、「ひじょうに具体的」であることを告発しました。

 志位氏はこのほか、東京都議選の結果や野党戦線の状況をどう見るか、非拘束名簿式に変わった参院選のたたかい方などについて答えました。