2001年4月13日(金)「しんぶん赤旗」

顔ぶれ、経歴から見えてくるもの…

第2次橋本内閣閣僚せいぞろい

大不況4人組

志位委員長ズバリ指摘


 自民党総裁選の立候補届け出が十二日おこなわれ、顔ぶれがそろいました。内閣支持率一ケタの森首相をどう支えてきたのか、国民のくらしや経済のかじとりはどうか、さらに政治姿勢について。各候補者の「実績」や発言から浮かび上がってくるのは――。

経済失政の共同責任

 橋本内閣(九六年一月〜九八年七月)による消費税増税、社会保障の切り捨てが個人消費を冷え込ませ、今日の深刻な大不況を引き起こしました。この点では、橋本龍太郎氏は首相、小泉純一郎氏はその内閣の厚相、亀井静香氏は建設相、麻生太郎氏は経企庁長官。日本共産党の志位和夫委員長がずばり指摘したように、まさに「大不況四人組」です。

橋本龍太郎氏(首相)=9兆円負担増の張本人

小泉純一郎氏(厚相)=社会保障切り捨て推進

亀井静香氏(建設相)=大型公共事業の旗振り役

麻生太郎氏(経企庁長官)=消費税の増税すすめる

 なによりも橋本氏は、消費税の五%への増税、特別減税打ちきり、医療改悪による九兆円の国民負担増で個人消費を冷え込ませ、今日の事態を招いた張本人です。また、「金融システムの安定」を口実に住専(住宅金融専門会社)への税金投入や金融機関救済へ三十兆円投入を決定し、血税を湯水のように金融機関に注ぎ込む道筋をつけました。

 橋本内閣のこの失政に端を発した不況について橋本氏は「私の責任だ」と認めたうえで再選を狙いますが、国民的には九八年参院選での「自民大敗」という形で審判が下った人物です。

 厚相として社会保障、医療費切り捨てに大ナタをふるってきたのが小泉氏です。九兆円負担増の一部である健康保険本人二割負担、お年寄りの自己負担引き上げなど医療制度改悪をすすめました。社会保障予算を連続して切り捨てる「財政構造改革法」にそって難病患者の医療費自己負担導入、母子家庭への児童扶養手当削減などを強行しました。年金制度では、保険料引き上げ、給付引き下げを国民に迫る「五つの選択肢」をまとめました。

 建設相をつとめた亀井氏は、「マスコミが公共事業をやめろという狂ったといってもいい風を吹かせている。(中略)日本が干上がってしまう」(九七年五月二十九日、日本建設業経営協会のパーティー)と、大型公共事業推進の旗ふり役を担いました。九九年十月からは自民党の政調会長をつとめ、むだな大型公共事業を推進し、国・地方あわせて六百六十六兆円という借金膨張で財政を破たんさせました。

 経企庁長官だった麻生氏は、消費税増税実施を前にした国会の経済演説(九七年一月)で「税制改正の影響などで前半は足どりが緩やかになるが、次第に自律的回復が実現され、持続的成長への道が開かれる」と、消費税増税路線を積極的に推進しました。

森政権支える中枢

 いずれの候補者にも共通していることは、圧倒的な国民の「不支持」「辞めよ」の声に逆行し、森首相をからだを張って支えてきたということです。しかも、そのことへの反省はだれもありません。

 森内閣の支持率が最初に急降下したきっかけは「神の国」発言でした。総選挙(二〇〇〇年六月)で国民の批判がわきおこるなか、森首相の出身派閥会長だった小泉氏は、「この問題は(与野党の議論が)すれちがい、不毛の争点だ。これが争点だというのは、野党が具体的な争点をうち出せず、だらしないからだ」(五月二十九日)と懸命に援護。盟友・加藤紘一氏をめぐる「政局」(十一月)のさいは、「(野党の不信任案への)賛成者は少なくとも理由を問わず除名するのが当たり前だ」とけん制しました。

 橋本氏は昨年七月十八日、旧小渕派を引き継いで会長に就任したさいの記者会見の席上「(森)政権を全力をつくして支えていくというのは当然のことだ」と宣言。「加藤政局」のさいは、「フライパンの上で(加藤氏を)ネコ踊りさせてやる」(十一月十一日)とすごんで見せました。

 低支持率の森内閣について「完全に離陸して安定飛行に入った」(九月十三日)と言い放ったのは亀井氏。「神の国」発言のさいは「間違ったことはいっていない。撤回する必要なし」(五月二十一日、テレビ討論)と弁護。「加藤政局」のときは「いろいろな奴(やつ)がギャーギャー言おうと…心配はいらない。首相を一糸乱れず徹底的に支えていく」(十一月九日)と語りました。

名うての改憲論者

 政治家としての基本的な姿勢があらわれるのが、戦後日本の形を定めた日本国憲法に対する態度です。

 橋本氏は、「戦後五〇年がたとうとしている現在、憲法はさまざまな問題を抱えていることは事実だ。だから憲法は一度見直してもいい時期に来ているのではないか」(『政権奪回論』九四年)と主張。日米安保については、日本をアメリカの戦争に動員する戦争法につながる新「ガイドライン」に最終合意(九七年九月)しました。

 小泉氏は、憲法調査会で「日本の国が軍隊を持つのは当然だ。軍隊を持つことは軍国主義でもないし平和主義を害するものではないということを明記できるような形で表現した方がいい」と“自説”を展開しました。

 「ハトを守るタカ」と自称する亀井氏ですが、「今の憲法がいいとは思いません。機が熟したら改正し、九条の平和主義は尊重しつつ、自衛権や集団安全保障の規定を盛り込んで、解釈上の屁理屈を言わなくても国連軍などに参加できるようにすべきです」(『週刊朝日』九七年九月十九日)と発言。総裁選の政策でも「早期の憲法改正」を掲げる“堂々たる”タカ派です。

 麻生氏は旧態依然とした「押しつけ憲法」論。マスコミのインタビューに、「憲法は改正すべきだ」「理由は占領期間中に、戦勝国が敗戦国に憲法を一方的におしつけたものだからだ」「『陸海空自衛隊これを置く』と書き換えれば現状公認でいいのではないか」(「産経」二〇〇〇年一月八日)と答えています。

4人の語録

 ●橋本龍太郎氏

 「国民におわびから始めたい」「三年前の不況は私の責任だ」(四月十一日、出馬の決意表明で)

 ●小泉純一郎氏

 「消費税の引き上げも反対、(郵政)民営化も反対ということは、許されなくなるでしょう」(『郵政民営化論』九九年十二月)

 ●亀井静香氏

 「“銀座のこじきも糖尿病”といわれている」「いまは、景気がよくないといっても食べることには困らない」(二月八日、衆院予算委員会の質問で)

 ●麻生太郎氏

 「長期債務残高の六百六十六兆円(来年度末)がすべて『悪』ではないということだ。国内総生産(GDP)を伸ばせば、債務の比率は下がるのだから、景気回復を最優先するべきだ」(「西日本」一月二十六日)




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