2001年2月12日(月)「しんぶん赤旗」

国民の血税の党略的流用は許されない


機密費問題

志位氏「『国会対策』『せんべつ』は、『報償費』の目的にてらして許されるものか。国民の税金の党略的な流用、私的な流用ではないか」

首相「いい悪いを申し上げる立場にない」

政治の深い闇――歴代の官房長官の証言は重みがある

 志位和夫委員長 次に「機密費」の問題です。外務省の元室長が、「機密費」を横領し、競走馬の購入などにあてていた事件は、多くの国民の憤激を呼びました。政府はこれを一人の不心得者の個人的犯罪ですませようという姿勢ですが、「機密費」の問題について、国民はもっと深い根を持った問題ではないかという厳しい批判の声を広げています。

 なぜ、こんな巨額な税金の横領が長期にわたって可能になったのか。ほかにも、「機密費」の甘い汁を吸っている者がいるのではないか。内閣分と外務省分だけでも年間七十二億円にのぼる「機密費」とは、いったいどういう仕組みになっているのか。私はこの「機密費」という政治の深い闇(やみ)に今こそ、しっかりとしたメスを入れる必要があると思います。

 歴代の官房長官が、内閣官房機密費について、次々と証言を始めました。宇野内閣で官房長官を務めた塩川正十郎さんが、テレビのインタビューで、「(機密費を)野党対策に使っていることは事実です。現ナマでやるのと、一席を設けて、一席の代をこちらが負担するとか」、こういうことをいいました。「総理が、外遊で海外出張にいくから、その費用を負担しろと、それは官邸の調整報償費ではございませんからね、ですから、外務省のある枠内からもってこいよと」、こういうこともいいました。外務省から官邸への「上納」といわれる事実についても認めたということです。

 そのあと、村山内閣で官房長官を務めた野坂浩賢氏が、新聞のインタビューに答えて、「最も多い使い道はせんべつだ。国会議員が海外視察に出かける時に渡した。…せんべつを受け取る人は与野党問わない。だが、共産党は呼んでも取りに来ない」「三回ほど与野党の国会対策委員会幹部に渡したことがあった。法案通過だったか難しい政局を乗り切ろうとしてだ。一回当たり計五百万ぐらい。金で解決するのかと矛盾を感じたが、実際には効果があったのとなかったのとが半々だった」。

 二人の官房長官経験者の発言ですから、重いものがあると思います。「国会対策」や「せんべつ」に、「内閣機密費」、「報償費」を使っていたというのです。河野外務大臣にうかがいます。あなたは宮沢内閣時代、九二年十二月から九三年八月まで、官房長官の職にありました。塩川長官と野坂長官の間にあたるわけですね、あなたが在職したのは。あなたが官房長官だった時期に、「国会対策」あるいは「せんべつ」、これに「内閣機密費」を使ったことがありますか。

 河野洋平外相 報償費の使い方は、政治あるいは内閣、国家の仕事を円滑に進めるために使うという目的があって、その目的に沿って使うということでございます。他方、どういう使い方をしたか、だれに渡したのかと、こういわれて、それを報告すれば円滑なことにはなりません。報償費の使い方を申し上げるということは適当ではないと思いますので、その問題について答弁をできないということをご了承いただきたい。

税金の党略的、私的流用を、「許されない」といえないのが大変な問題

 志位 使い方はいえないという、お決まりの答弁が返ってまいりました。それでは、設問を変えましょう。総理にうかがいます。あなたは本会議の答弁で、「内閣報償費」とは「内政、外交を、円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費であり、国政の遂行上不可欠なもの」と答弁しました。「国会対策」とか「せんべつ」というものは、あなたがのべた「報償費」の目的に照らして許されるものなのでしょうか、許されないものなのでしょうか。使ったかどうかを聞いているのではありません。目的に合致しているものなのでしょうか、合致していないものなのでしょうか。

 森喜朗首相 私はそうした問題に一切触れてもおりませんし、したがって、そのことがかなうのか、かなわないのかということも、申し上げる立場ではありません。

 志位 申し上げる立場でしょう、あなたが内閣をあずかっているのですから。許されることなのかどうなのか。だって「国の業務を円滑にするため」というのが、「報償費」の名目でしょう。海外に国会議員がいく時に「せんべつ」を渡す、おみやげでどうぞ使ってくださいと。これが「国の業務を円滑にするため」のものですか。「国会対策」が大変になったときに国対費として渡す。これは国の話じゃなくて、税金の党略的流用、私的流用ではありませんか。これが許されるかどうか聞いているんです。使ったかどうか聞いているんじゃないんです。

 首相 何に使われるか申し上げるわけにはいかないわけですから、そのことがいいか悪いか、私が申し上げる立場ではない、こう申し上げています。

 志位 許されないこととはいえませんか。つまり、(「機密費」の目的は)「国の業務を円滑にする」というんでしょ。国会対策というのは、これは党派の問題でしょ。こういうものは許されないといえませんか。

 首相 そのようなものに使われているか使われていないかということを、私は知りえません。したがって、私はそのことについてのいい悪いということを申し上げる立場ではない、ということを申し上げております。

 福田康夫官房長官 いま委員からもおっしゃられましたけれども、まさに内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため、そして、私の判断で機動的にまた適切に使用しているということであります。ただし、使用目的については、用途については、これは申し上げることはできないんです。だけれども、厳正に運用しているということだけは申し上げておきます。(笑い)

 志位 これだけ聞いても、許されないことという範疇(はんちゅう)に入るってことをいえないんです。まさに、こういう「せんべつ」とか「国会対策」というのは、だれがどう考えたって税金の党略的流用、私的流用だと思いますよ。これを許されないといえないというのが、大変な問題じゃないですか。

外務省の「機密費」――「年度末に飲食に化ける」というのがリアルな実態

 志位 この問題について、外務省の「機密費」の問題についてもうかがっておきたい。河野大臣は「もっと増額が必要だ」という答弁もされましたけれども、在外公館に支出されているものがどう使われているか、私たちは直接、長い経験をもつ外交官の証言をえました。

 「私は、いくつかの大使館勤務を経験してきた。どこでも報償費が飲み食いに使われて、本来の情報収集に使われてこなかったことを、つぶさに体験してきた。予算消化のために、年度末には無理やり金を使う。急に情報収集のために金は使えないから、飲食に化ける。(与党のヤジが多く、「質問が聞こえないので静粛に」と予算委員長)

 きちんとした行事以外に、私的な飲み食い、大使館員の慰労などさまざまな形で飲食がおこなわれている。一番大きな問題は、こうした飲食が本来情報収集のために設けられた報償費から出されて、それがほとんどを占めてしまうような実態にあることだ。……領収書はだめという報償費を使っての情報収集は非常に少なくてすむ」

 こういう証言であります。何人かほかの外交官の関係者の方々にも聞きましたけれども、だいたいそうですよ。「(私的な)飲み食い」に使っている。

 外務大臣にうかがいますけれども、あなたは外務大臣の経験が長いですね。村山内閣当時の外務大臣ですし、小渕さんのときから森内閣のときまでの外務大臣ですから、ご存じだと思いますけれども、こういう実態があるのかどうか。「私的な飲み食い」に使われるような実態にあるのかどうか。そして、本来の外務省の「機密費」の目的からいって、こういう「私的な飲み食い」に使われるような使い方が許されるのかどうか、答弁願います。

 外相 少しいろんなことを申し上げたいと思いますが、少し余計なことであればやめますが(志位「簡単にやってください」)、それじゃ簡単にやります。私的なことに使われているということはない、そう思っております。

 志位 「私的な飲み食い」には使っちゃいけないってことだという説明ですけれども(与党から「そうじゃないでしょ」とのヤジ)、「私的な飲み食い」は使っちゃいけない、(河野外相に向かって)ないってことでしょ。ないってことですけれども、この外務省の「報償費」をみても、「官房報償費」をみても、ほとんど(予算を)全部使い切っているわけです。八五年度から九九年度までの額をみますと、外務省分は本省の使い切り率は九九・九九九八六%です。それから在外公館の方も、九九・九九四四一%です。機動的に使うといいながら、ばらつきがなく、なめるように使っている。これは本当に年度末に「飲食に化ける」という実態がリアルである、ということの証明だと思います。

外務省から内閣官房への「上納」を裏づける動かぬ証拠

 志位 ここで資料の配布をお願いしたい。みなさんにいまお配りした資料は、一九八九年五月に内閣官房が作成した「報償費について」という文書であります。八三年度から八九年度にかけて官房長官が扱った「報償費」についてのべています。(文書の)下に「内閣」と書いてありますが、内閣の用箋(ようせん)を使った手書きの文書が三枚、それにワープロ打ちの(報償費の)内訳の文書が二枚ついております。これはなかなか深刻な重大な文書であります。

 これは第一に、外務省から内閣官房への「上納」の疑惑を裏付ける文書となっております。一ページ目をご覧ください。一ページ目の「2、報償費の額」というところがありますが、こう書かれています。

 「官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている」

 官房長官が扱う「報償費」というのは、内閣官房と外務省と両方で計上されていて、両方扱えるんだとあります。「官房長官の取り扱う報償費の額は次のとおり」といって、次のページにつながります。そして、昭和五十八年度、一九八三年度から、平成元年度、一九八九年度までの「報償費」の推移が決算ベースででております。一九八九年度の数字をみますと、内閣分が十二億九千七百万円、外務省分が十九億九千七百万円、あわせて三十二億九千四百万円。こういう額が内閣官房が使える「報償費」として計上されているんだと。

 これは動かぬ証拠であります。少なくとも、一九八九年度の段階ではこういうことがあった、これは事実であります。いまでもこういうことが続いていると思います。外務省の元室長をめぐる汚職も、外務省の役人が内閣官房へいって予算をもらってくる。これはおかしい、「上納」があるんじゃないかという疑惑が多く指摘されていたわけですが、「上納」の動かぬ証拠があるじゃないですか。総理、どうですか。

 官房長官 この文書は何かついこの間『選択』という雑誌に出ていましたね。あれと何か似ているような感じがいたしますけれども、私どもはこういう内容は承知いたしておりません。

消費税の“生みの親”は、「内閣機密費」だった

 志位 承知していないというけれども、これはまぎれもなく内閣の官房がつくった文書であることは、文書を見れば明らかじゃないですか(「承知していないというのはおかしいじゃないか」との声)。内閣の用箋を使っている。

 もう一つ、この文書を見ますとこういう記述がある。ここには機密費の党略的な流用を示す記述があります。二ページ目の「留意点」というのがあります。ここ見ますと「昭和63年度分については5億円(内閣分1億、外務省分4億)が増額されているが、これは、税制改正のための特別の扱いである。更に平成元年度についても、引き続き同様の額を計上しているが、これも新税制の円滑実施等の事情によるものであり、異例の扱いである」と、こういっております。ここでいう「新税制」とは何か、消費税のことです。消費税導入のために五億円の特別の増額がされたという記述であります。

 そして、最後の五ページ目の表をご覧ください。ここには、「内閣官房報償費」の「経費区分」が書かれております。「経常経費」として六億円、「官房長官扱い」として十六億円、「官房長官予備費」として五億円、「特別経費」として五億二千八百万円、こうありますが、その中で「特別経費」の中に「自民党外交対策費」というのが出てきます。自民党に流れていたということの証拠です。

 それから「官房長官予備費」、ここのところにこめ印がついておりますけれども、下に手書きで平成元年四月十八日、一億円と出ているでしょう。平成元年四月十八日、つまり一九八九年四月十八日に一億円のお金が出たということが、生々しく出ております。

 この一九八九年の四月十八日というのはどういう瞬間だったかというのを調べてみますと、ちょうどそのときは消費税予算をめぐって国会が空転していた。リクルートの問題で中曽根さんの喚問をめぐって空転していた。そして、竹下内閣の辞任をめぐっても空転していた。空転していたさなかです。一億円ボーンと出された。これはまさに消費税(導入)のために五億円のお金を使った、消費税の“生みの親”が「機密費」ということになるではありませんか。そういう党略的流用をやったということが、この文書からはっきり読み取れるじゃありませんか。

 これは、文書を知らないではすみませんよ。これ内閣官房がつくった文書であることは、これだけのリアルさをもってある。内閣官房の用箋を使って書いてあるんですから明らかであります。総理、どうですか。まさにそういう文書でしょ。

 官房長官 出所不明の文書をもっていろいろいわれましても、私どもはお答えのしようがない。

 志位 不明ではありません。内閣の用箋を使っている。内閣官房がつくったものに違いない。明りょうであります。私は少なくともこういうものが出てきている以上、総理に要求したい。過去にさかのぼって「内閣官房機密費」がそういう不正な使用をされていないのかどうか、全部明らかにして、国民の前に真相を発表すべきだ。この文書の是非も含めて全部発表すべきだということを、総理にお約束願いたい。調査してください。

 官房長官 あの調べよとおっしゃるなら調べないわけではありませんけれども、しかし、まあどのくらいの根拠のあるものであるか、そのへんがよくわからんので、その必要性あるなら調べましょう。しかし、今の話だけで、にわかに調べましょうというわけにはいかないというように、私は思っております。

 志位 歴代の長官が、塩川正十郎長官、野坂浩賢長官、この方々も「国対費に使った」ということをおっしゃっている。文書も出てきた。これだけのことがあって、なんで調べるっていえないんですか。総理、はっきり調べるといってください。(議場騒然、「調べなきゃだめだよ。証拠出してるんだから」の声)

 官房長官 あの証拠、証拠とおっしゃられますけれども、私どもから見て本当にそうなのかどうか、ということでございまして、今のお話だけでおっしゃることを信用するわけにいかない、こういうふうに考えておりますんで。その証拠とおっしゃるものの出所とか、少し説明していただかないといかんと思います。

 志位 これだけの問題について、調べるということをはっきりいわないっていうのは、ほんとうに問題を国民の目から隠す態度だと思います。

「機密費」のしくみ――会計法上では公金でなく私金としてしまう

 志位 なぜ「報償費」「機密費」という問題が、こういう事態になるのか、私は最後にその仕組みについて議論をしてみたいと思います。「報償費」というのは、どういう仕組みの金なのかという問題です。

 会計法という法律がございます。国の金銭経費の原則を定めた法律です。すべての予算は会計法に従って支出されます。報償費も例外ではありません。報償費はどのような手続きで支出されるのかを、過去の政府見解にさかのぼって全部調べてみました。そうしますと、次のような概念図になってまいります(パネルE)。

 左側にある予算の「支出官」がそれぞれの報償費の「取扱責任者」に国の予算を支出する、こういう仕組みになっております。

 内閣についていえば、内閣府大臣官房会計課長が「支出官」であって、「取扱責任者」は内閣官房分は内閣官房長官、内閣情報調査室分は内閣情報官であります。これは間違いないと思います。

 外務省であれば、外務省大臣官房会計課長が「支出官」であって、「取扱責任者」は本省分は部・局長以上、在外公館分は大使というふうにうかがいました。これも間違いないと思います。

 それで重要なことは、これまでの政府見解をみてみますと、「支出官」から「取扱責任者」に対して予算が支出された時点で、会計法上の予算支出の手続きは終了するということであります。つまり公金として扱われるのは予算を支出するまでであって、「取扱責任者」に対して渡った時点では、私金として扱われる、これが会計法上の仕組みだということをうかがいました。

 この問題は、国会の議事録での内閣答弁でも明らかであります。これは一九八〇年四月一日におこなわれた衆院決算委員会の議事録ですが、この中で大蔵省法規課長は、「取扱責任者に対する支出で国の歳出としては終わっているわけで、国の経費として消費されたものと解される」とのべています。内閣官房会計課長は、「取扱責任者に対する交付をもって国の予算の支出は終わる。そこから先は会計法規上は私金となる」、こう答えております。

 つまり、会計法規上は「取扱責任者」に渡った段階で、公金としての性格を失って私金となる。公金ではなくなる。これは間違いないですね。確認しておきたい。

 宮沢喜一財務相 それは会計法上の話です。会計法からすれば支出がすんだんですから、それで終了したといっているんで、事実は、報償費はたとえば国の職員が公務に使用するために管理している現金ですから、それは国に代わって管理しているんであって、私金であるはずがない。そうでなければ使い込みなんて起こらない。

会計法の外の私金にしてしまうから、会計検査院の検査もおよばない

 志位 使い込みが起こったじゃないですか(議場に爆笑)。何いっているんですか。ただ、今の財務大臣の答弁のなかで、会計法上は公金でなくなるということはお認めになりました。公金でなくなるということをお認めになりました。

 会計法上、公金でなくなるということになりますと、会計法規の外の世界になってしまうわけですから、会計法規では律することができなくなる。会計法規でコントロールできなくなります。そうしますと、「取扱責任者」――官房長官が内閣官房分は「取扱責任者」ですし、あるいは内閣情報官が「取扱責任者」ですが、「取扱責任者」に支出された「機密費」が目的に即して使われる保障は、どこにあるんでしょうか。

 財務相 それは公務員が公金を管理しておりますためには、公務員としての義務がある。それに反しますと刑法上いろんな問題があります。

 志位 刑法上たとえばそれをわいろに使ったり横領したりすれば、いろんな問題が出てくるでしょうけれども、会計法上の責任というのはもうないでしょう。会計法上の保障というのはないでしょう。ですから、たとえば会計検査院が検査するというけれども、「取扱責任者」がその金をどう使ったか、官房長官がどう使ったか、領収書いらないでしょ。検査といったって、「簡易証明」ということが許されているわけで、これはもう完全に、ある意味ではモラルの世界の問題になってしまうんじゃないですか。

 官房長官だったら、官房長官のモラルにまかされる。それ以外に保障はないんじゃないですか。ところが現実には、公務員が適正に使っているというけれど、使い込みが起こっているじゃないですか。どうですか。

 財務相 いま志位委員がおっしゃっていることは、きわめて恣意(しい)的なことであって、つまり会計法でいえば支出したんだから、それで終わりだとそれだけのことなんです。それを預かっている公務員はそれを国家のために使うんですから、それは私金であるはずがなく、公金じゃないですか。

「機密費」の抜本的見直しを、少なくとも減額をすべきだ

 志位 会計法上は公金じゃなくなるわけでしょう。会計法上、公金でなくなるということは、会計法の外の世界にいってしまう。外の世界にいってしまうから、会計検査院の検査もちゃんとやれなくなる。領収書も必要なくなってしまう。こういう仕組みのお金にしていいのかという問題が、私は問われていると思うんです。

 予算というのは国民の税金です。血税です。それを会計法規上の公金からはずして、国の金銭経理のルールの外のお金、わかりやすくいえば帳簿外のお金にしてしまう。そして、「内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため」という漠然たる目的で、事実上の無目的と同じ目的で、事実上「取扱責任者」の個人的判断で、何にでも使えるお金にしてしまう。これが機密費の仕組みであります。

 私は、これは根本から見直すべきだと思います。少なくとも、こういう事態がはっきりしたわけですから、これは総理に答弁を最後に求めますが、減額をすべきではないか、こう思います。

 元室長が銀行口座に入金した「機密費」というのは、わかっているだけでも、六年間で五・六億円。そのうち、総理の外国訪問の諸経費の支払いに使用していたのは二・五億円。残り三・一億円は使途不明なわけでしょ。外務省のあのずさんな「調査報告書」でもそうなっているわけです。しかし、これはごく一部です。

 「内閣報償機密費」のなかから六年間、三・一億円の使途不明金があった。三・一億円、どこいってしまったのかわからないお金があって、総理の外遊を四十何回やったそうですが、一回でも困ったことがありますか。つまりホテル代が足らないとか、旅費が足りないとか、総理の外遊で支障をきたしたことがありますか。

 外相 議員のお尋ねは、外務省の報償費と官房の報償費をいっしょくたに議論をしておられるんですけれども(志位「内閣官房長官に聞いているんですよ」)、外務省の報償費についていえば、これは支出をするときには、部長、局長のサインがいって、そして目的をはっきりして、承認を得て、そして求めているわけですから、無目的とかそういう言い方をされるのは、きわめて不本意だということを申し上げたい。

 志位 これは官房長官に聞いているんです。そういう支障をきたしたことがあるのかどうか。あるかないか、時間がないですから答えてください。

 官房長官 それも端的に申し上げれば、その分で、横領された分で不足した分、このことについて適切なる使用ができなかったということであります。

 志位 適切なる使用ができなかったというのは、それは事実をいっただけで、支障があったのかないのか、答えないじゃないですか。支障がなかったんでしょ。支障なかったんだったら、少なくとも減額すべきじゃないですか。総理、最後に答えてください。

 財務相 私は予算を編成する当事者として、いつでもご迷惑、ご不自由をかけてるなという気がしてます。

自民党政治の末期的腐敗を象徴する事件――森自公保政権はすみやかに退陣せよ

 志位 私は、KSD汚職と機密費の問題というのは、庶民の金、血税を食い物にするという点で、自民党政治の末期的な腐敗を象徴する事件だと思います。こういう問題について、調査能力もなければ意思もない(内閣)というのは、ただちに退陣を願うしかない。このことを最後にのべて終わりにいたします。(拍手




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