2000年12月2日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が12月1日、国会議員団総会であいさつした発言の大要は次の通りです。
国会の閉会にあたりまして、ごあいさつを申しあげます。
今度の国会というのは、今世紀最後の国会となったわけですが、自民党政治がいよいよ“世紀末”的なゆきづまりをあらわにした国会となりました。
森・自公保政権は、内閣不信任案は否決したものの、支持率はどの世論調査でも十数%、あるいは数%というところまで落ち込んで、国民からは完全に見放された内閣になっています。相撲でいいますと、体が土俵を割った“死に体”内閣という状況です。
そしてこの間、自民党内では、主流派と反主流派の抗争がくりひろげられました。主流派は、ともかく政権の延命と自己の保身のために“脅し”だけで政局を乗り切ろうとする。反主流派は、「改革」をいうけれども、口先だけで内容もなければ根性もない(笑い)という状況で、このコップの中の抗争は、最後は本会議場のコップの水まき(爆笑)という前代未聞の醜態につながり、森首相の「水をまく気持ちもわからんでもない」という、コメントもしようのない低次元のオチで終わりました。
このすべての経過をつうじて、自民党には、国民の批判の声に耳を傾けて、自己を改革する能力はまったくないし、ましてや政権を担当する能力はもはやひとかけらも残されていないことが明らかになったと思います。
海外はこの事態をどう見ているのか。少し調べてみました。アメリカのワシントン・ポスト紙は、今回の事態を「アジアのフロリダ」(笑い)として、「日本はフロリダ型の混乱を十年近く経験してきた」。つまり、自民党政治のもとで、九○年代は混乱の連続だった、その帰結として今回の事態がおこっているとのべています。
イギリスのインディペンデント紙は、自民党の党内抗争について、「自民党の自爆」として、選挙での後退は必至と書きました。イギリスのエコノミスト誌は、自民党は「絶望的な混乱にある」と書きました。“混乱”とか、“自爆”とか、“絶望”とか、そのような形容句で海外から見られているのが、いまの日本の政権であります。
この政権党の危機の根底には、大会決定でも指摘した自民党政治の政治路線でのゆきづまりがあります。
今度の国会をふりかえってみましても、一連の悪法がごり押しされました。参議院の選挙制度の改悪、健康保険法の改悪、少年法の改悪。従来型のバラマキ公共事業で借金を増やす大型補正予算。その一つひとつがすべて大問題ですが、国民のくらしも、民主主義も、国の財政も、およそ眼中になく、ただ政権の延命のために“数の暴力”をふるう。ここにもゆきづまりがはっきりあらわれています。
森首相は、「失言はあったが失政はない」という弁明をしていますけれども、今度の国会を見ますと失言どころの話じゃない。失政、悪政の連続だったというのが今度の国会の総括であって、これは必ずや国民の厳しい批判をいっそう広げざるを得ないでしょう。
私たちは森首相の一刻も早い退陣を強く求めます。そして、この根底にある自民党の政治が続いたら、事態は打開できませんから、この政治を二十一世紀に一刻も早く終わらせるために力をつくすということを、国会のしめくくりにあたって共同の決意にしようではありませんか。(拍手)
つぎに、野党はこの国会でどう対応したかという問題ですが、私は野党共闘は大きな成果をあげたと考えています。
まず、参議院の選挙制度の改悪がもちあがったわけですけれども、この問題で、野党は一致結束して暴挙に抗議しました。「票の横流し」ということがマスコミでも共通語になるくらい、その党略的な本質が広く国民に知られて、政権党のもくろみは、大きな打撃を受けました。
それから、中川前官房長官の問題が持ちあがりました。暴力団系右翼団体との交際、警察情報の漏えい問題などの重大問題が明らかになり、この問題も野党一致して追及し、更迭に追いこむという成果をあげました。
そして、国会の最後の局面で野党が一致して提出した内閣不信任案は、国民の批判と合流して、政権党を土壇場まで追い込んで、彼らの間に深刻な亀裂をつくり、ぼろぼろの状態にまで追いこみました。これらの成果は今後の国会のたたかいに生きるものだと思います。
そこで、今後の野党の関係について、私たちの考えをのべておきたいと思います。
一つは、国会での一致点にもとづく共闘は、ひきつづき自由かっ達に発展させるということが私たちの立場です。自公保の暴走を食い止め、国民の利益にかなう一致点があれば、その一致点を大事にして、国会での共闘をおおいに発展させる。そのために、誠実に力をつくすというのは、私たちの変わらない立場です。
二つ目に、政策ではさわやかな論争をおこなっていくというのが、私たちの立場です。
たとえば、憲法九条の問題は、国政の直面する熱い焦点です。しかし、この問題で、野党間に意見のくいちがいがあります。私たち日本共産党の立場は、大会の決定で明らかにしたように、憲法九条の完全実施にむけて自衛隊を段階的に解消していく、これが確固たる立場です。
野党の中には、憲法九条をめぐって、これを改定するとか、あるいは集団的自衛権を明記するなどの主張もあります。立場が違うわけです。ですから、どの立場が国民の利益にかなっているか、どの立場が平和の利益にかなっているか、このことを前向きにおおいに論戦する。これが、政策の問題での私たちの立場です。
三つ目に、選挙の問題はどうするか。国政選挙が迫っているわけですが、国政選挙では自公保政権の延命を許さないという共通の立場を持っているわけですが、他の野党と日本共産党との間で政策協定を結んで選挙協力をおこなうという条件が熟しているわけではありません。いまのべた憲法問題一つをとっても大きな意見の違いがあります。ですから選挙では、それぞれの立場で自公保政権への審判を訴えて、競いあうというのが私たちの基本的な立場です。
国会では一致点に基づく共闘を活発に行う、政策ではさわやかな論戦を行う、選挙では競争する、そして全体として自公保政治を追い詰めていく、これが私たちの、野党のなかでとっていく立場だということをのべておきたいと思います。
自民党政治の打破をいうならば、その内容、内実が必要です。いかなる旗印、いかなる政策をもって、この政治を変えるのか、これを明らかにすることが必要です。私たち日本共産党は、今度の大会決議で自民党政治にかわるべき新しい政治の内容を豊かに全面的に示しました。今度の選挙戦では、この党の前進、躍進こそが、日本に新しい政治を起こす一番確かな力なのだということを正面から訴えて、新しい上げ潮をみんなでつくりだそうではありませんか。
最後に、二十一世紀の国会活動についてのべておきたいと思います。わが党が政権を担いうる党として前進していくためには、基本路線、基本原則をしっかり貫きながら、同時に不断に自己改革をする努力を怠ってはなりません。そうしてこそ多くの国民のみなさんの信頼と支持を得ることができます。国会議員団はその先頭にたつ必要があると思います。
そこで私は提案したいのですが、それぞれの国会議員のみなさんが、それぞれ責任を持っている分野で、専門家として第一人者になるということは当然でありますが、そのうえに三つの努力をお互いにおおいにやろうではないかということをいいたいのです。
一つは、二十一世紀という新しい世紀に入るわけですが、世界と日本の動きを広い視野でとらえて、広い視野で活動するということであります。
二つ目は、国政の大問題、中心問題については、すべての国会議員が堂々と自分の論陣を国民の前で張れる、そういう議員団に成長したい。
三つ目に、日本共産党の綱領路線、理念問題、組織原則などが、国民の大きな関心を呼んでいるもとで、党を代表する国会議員として、そういう問題でも縦横に語る力をみんなが身につける。
この三つの課題を、ぜひ新しい世紀を迎える国会議員団の共同の努力目標として、おおいにみんなで努力して、国会議員団全体の力量を高めていこうではありませんか。
二十一世紀の大局的な世界と日本の展望、日本共産党の進むべき進路、そしてどういう日本共産党をつくるか、組織建設の方針と、その土台となる規約――これらの問題について、第二十二回党大会では、全党の英知と力を結集して立派な決定をつくりました。
この大会決定を国会議員団のみなさんが縦横に駆使して、豊かにわれわれの活動を発展させ、そして新しい世紀に国会議員団の活動の新たな境地を開く、そして国民の期待にこたえられるような国会議員団として、われわれ自身が大きく成長していく、そういう努力をお互いにしたいということを最後に申しのべまして、あいさつとさせていただきます。(拍手)